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映画『灼熱の魂』

カナダ映画だが、レバノン出身でカナダへ移住したのワジディ・ムアワッドの戯曲を元にしている。

戦争が何故ダメなのか?その傷跡はどうなるのか?という事を個人的な視線で描いている映画。
戦争で人生がどれだけ捻じ曲げられ、苦悩と悲劇を与えるか。平和な環境に生まれても、たくさんの悩み、苦しみを抱える個人なんて大勢いるのに、それ以上の苦悩を権力や武力で強制的に受ける。正直、人生滅茶苦茶である。

ストーリーはカナダに暮らす男女の双子の姉弟が母親を亡くした事かから始まる。実の父と兄がいて探すようにという遺言を母親は残していた。
一見、サスペンス映画のようだが、話が進む度に内戦を生き抜いた母親の過酷で残酷な人生を描いた映画になって行く。紛争や戦争は人の命を軽くする。勿論、人の人生なんてもっと軽い。

因縁のような偶然により悲劇が輪をかけて更なる悲劇に加速して行く。運命の悪戯というありきたりな言葉しか思いつかないが、しっくり来た。


壮大な反戦映画よりも、個人の苦悩をリアルに描く方が本当の戦争の恐ろしさを伝える事になるかもしれない。
私はこの映画で深くショックを受けた。ストーリーを思い出しながら感想を書いてる今この瞬間にこの母親と気持ちが同化して泣きそうになっている。
観る価値のあるお勧めの映画だが、覚悟して観て欲しい。

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