Oranssi

職業旅人 // 野良広告業 // 最近は面白かったから訳す人(不定期)(内容への賛同を表すものではありません)

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最近の記事

書評『不可逆的なダメージ』アビゲイル・シュライアー著—われわれはジェンダーイデオロギーを克服することができるのか

文化的な火種というのは、つくづく気まぐれで、誰もが予想だにしなかったところから現れるものだ。それは人生の妙味、運命の悪戯である。 例えば、男女平等権憲法修正案は、どう見ても文言レベルの修正だった。第27次改正。そのひとつ前の改、正が、選挙権を21歳未満にまで拡大したのと同じプロセスで可決されただけのものだ。 1971年、時の大統領リチャード・ニクソンはこの修正を全面的に支持しており、およそ反対の声が上がるとも思えなかった。「および女性」をいくつか追加するだけの、ごくごく簡単

    • 国連のレポートは、成人と未成年者の性行為の非犯罪化を求めるものではない

      AP通信ファクトチェック(2023.4.23)の抄訳 主張:国連の新しい報告書は、成人と未成年の間の性行為を非犯罪化することを求めている。 AP通信の評価:誤り 国際法律家委員会が国連合同エイズ計画(UNAIDS)と共同で3月に発表したレポートは、差別的な手段をとることなく性交同意年齢法を施行することを求めたものである。国連と国際法律家委員会のスポークスマンは、このレポートが、未成年者と成人との間のいかなる性行為の非犯罪化も求めていないことを明確にした。 ことの発端は

      • 消える少年—ジェンダーをめぐる文化闘争は、深刻化する若年齢男子の教育上の困難を透明化している—

        City Journal(米の保守系メディア)の記事抄訳 青い州——私の住むブルックリンのサッカーチームの少女が着ているTシャツのように真っ青な——の経典によると、「未来は女性のもの」なのだそうだ。大学のキャンパス内に限って言えば、それは実現している。 昨今、大卒者の女性率は6割にまで達しており、男性は4割にまで落ち込んでいる。この増加傾向は今に始まったことではなく、1980年代初頭からゆっくりと続く現象ではあるものの、いよいよもって記録的な規模に達しており、注目を集めてい

        • Opinion|TikTokで#Abortionタグを解析した結果

          2022.10.19 ワシントンポストの記事抄訳 私たちは、2022年1月から9月にかけて、TikTokでバズった#Abortionのハッシュタグ付きの1000本以上の動画を収集しました。閲覧数トップ100のうち、66本がプロチョイス、11本がプロライフでした。それ以外の投稿は立場を明確にしていないものです。 これらの動画は、複雑な社会・政治的議論がプラットフォーム上でどのように展開されるかを垣間見せてくれるよくできたティザーです。 例えば、ある投稿は、政治的な主張をキム

        • 書評『不可逆的なダメージ』アビゲイル・シュライアー著—われわれはジェンダーイデオロギーを克服することができるのか

        • 国連のレポートは、成人と未成年者の性行為の非犯罪化を求めるものではない

        • 消える少年—ジェンダーをめぐる文化闘争は、深刻化する若年齢男子の教育上の困難を透明化している—

        • Opinion|TikTokで#Abortionタグを解析した結果

          スーツとカーディガン

          何を着ても居心地が悪いという話を前にした。 「アディダスでも食ってろ」の話、本当にそうだと思う。 形も狭いが、色が本当に狭い。まとめをひと通り読んで以降というもの、メンズラインは何がそんなに「狭い」のか、いろいろ調べながら考えている。 形も狭いが、それにも増して使える色の幅が本当に狭い。 メンズ服、色を変えただけでもう全然メンズに見えなくなるのですごい。 かといってウィメンズにもならないのだった。何が性表現を性表現たらしめているのか興味があるので、最近は色々着てみることに

          スーツとカーディガン

          大いなる隠蔽

          元WSJ記者Asra Q.Nomaniの論考抄訳 イスラム原理主義者は宗教的欺瞞をもってマーサ・アミニを圧殺した しかし、女性はこの闘いに勝つことができる マーサ・アミニの死刑は、43年前から定められていたものだ。ある虚構に基づいている。 1979年2月1日、狂信者アヤトラ・ホメイニは亡命先のパリからイランに足を踏み入れ、この国の権力を掌握した。民主主義、公民権、そして女性が髪に風を、腕に太陽を、脚に草を感じる自由を廃止したのである。 その日から、イラン、インドネシア、そ

          大いなる隠蔽

          検閲に関するコモンセンスの重要性:子どもたちと禁書

          米の保守メディアTownhallの記事抄訳 誰だって「検閲者」などと呼ばれたくはない。 けれど、12歳の少年が書店にやってきて、女性のヌード写真集を買おうとしたとしても、性的に露骨な内容とわかっている本の販売は、法により禁止しされている。 純真無垢な子どもたちを守るため、文明社会において、ある程度の検閲法や規制は必要である。 もっとも、アメリカ図書館協会の知的自由オフィス(OIF)のデボラ・コールドウェル=ストーン所長は、「読者にとっても、レファレンスを担う職員にとっても

          検閲に関するコモンセンスの重要性:子どもたちと禁書

          教室での性暴力:あなたが知っておくべきこと

          米IFL(チャイルドマレスター検挙・告発支援の慈善団体)記事抄訳 免責事項: 私たちは、教員が非常に重要な存在であることをよく知っています。次世代の育成に生涯を捧げる方々に心から感謝もしています。その仕事が必ずしも華やかでないことを理解しているためです。 この記事は、こんなことが自分や周囲の子どもの身に起こり得るはずはないと思っている大人たちに現状を知らしめ、広く情報提供することを目的としています。 ほとんどの教員は、子どもたちの幸せだけを考えている素晴らしい人間です。しか

          教室での性暴力:あなたが知っておくべきこと

          スウェーデン/フィンランドからの手紙(米国最悪の文化戦争終結を願って)

          著述家Lisa Selin Davisの記事抄訳 注:もともと別の媒体で書いていたのですが、出版を2ヶ月遅らせたいと言われ、情報を出したかったので、ここで公開します。できるだけ多くの人にシェアできるよう無料にしましたが、調査や執筆に時間がかかったので、できれば有料購読やチップをご検討ください。 サブスクリプションへの誘導 今年の初め、トランスジェンダーの子どもたちをめぐる米国の文化戦争が本格化した頃、スウェーデンの国立保健福祉委員会(NBHW)は、 性別違和、あるいは「性

          スウェーデン/フィンランドからの手紙(米国最悪の文化戦争終結を願って)

          ドメスティック・バイオレンスは家父長制の結果ではない

          進化心理学ポスドクLimor Gottliebの記事抄訳。 研究によると、異性愛者の女性は、少なくとも男性と同等の頻度でパートナーに暴力をふるう傾向にあるという結果が一貫して示されている。 ご存知、ジョニー・デップは、2018年のワシントン・ポストで、自身をDV被害者だと告発した記事をめぐって、元妻アンバー・ハードを訴えている。この係争は米バージニア州の裁判所に持ち込まれ、裁判の模様が生中継されている。デップは、ハードが自分を殴ったり脅したりしたことを認める音声をいくつも

          ドメスティック・バイオレンスは家父長制の結果ではない

          スウェーデン・モデル(北欧モデル)についてあなたが知りたかったこと

          2020年のSWARMの記事抄訳。 スウェーデン・モデルとは?それは、性的サービスの購入と買い手を犯罪とする法的モデルです。あなたがいる場所(と視点)によっては、北欧モデル、平等モデル、エンド・デマンドとも呼ばれます。1999年にスウェーデンで生まれ、現在、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、フランス、アイルランド、北アイルランド、カナダで実施されています。世界中—この法律が提案または導入された国々—のセックスワーカーは、このモデルが誕生して以来、抗議を続けており、最も

          スウェーデン・モデル(北欧モデル)についてあなたが知りたかったこと

          売春の非犯罪化から16年、スウェーデンで起こっていること

          2015年のMICの記事の抄訳。 売春は本質的に搾取なのか?それとも、ステークホルダー全員の自由と平等の最大化のため、改善の余地があるだろうか? 欧米諸国はこの問いに何年も取り組んできた。売春が規制されていない場合、セックスワーカーにとって危険であることは広く理解されているが、労働者を保護し、エンパワーするためにこの産業を改革することができるのか、それとも完全に廃止すべきなのかについては、議論百出である。 改革のプロセスの中で、欧州のいくつかの国では、これを合法化し、職

          売春の非犯罪化から16年、スウェーデンで起こっていること

          なぜ女性の方が中絶に反対するのだろうか?

          guardiadnの中絶に関する記事の抄訳。 近年の調査では、女性よりも男性の方が—カトリック教徒の間でさえ—よりリベラルな中絶法を支持する傾向が示されている。この調査結果は正確なものだろうか? もしそうなら、この直感に反する男女格差を説明できるものは何か? リプロダクティヴ・ライツを制限する中絶に関する法案の草案に反対するマドリードの女性たち。写真 Antonio Navia/Demotix/Corbis 例えば、ジェレミー・ハントが中絶の法的制限期間を12週間に短縮

          なぜ女性の方が中絶に反対するのだろうか?

          トランプ凍結とBigTech、イーサリアムの生みの親の言うことが一番納得できた

          ので、ザラっと訳した。 言論の自由と先週の大規模な脱法行為をめぐる問題についてのちょっと書きたいので、一時的に自分の半ツイ禁を解除します。暴動はどう考えてもひどいものだったし、まだトランプの支持者たちはおかしくなっているので、現時点で言及がなされていないいくつかの点にフォーカスすることにします... 1.「究極の選択ボタン」のミームは、必ずしも等価でなく、正反対に位置するもう1セットのボタンがあります。 ほとんどの人が議論しているのは、左の「民間企業はやりたい放題」対「

          トランプ凍結とBigTech、イーサリアムの生みの親の言うことが一番納得できた

          逃げ恥SPと鬼滅、カウチポテトの権力

          去年こんなツイートをした。 --- 2021年の正月、逃げ恥SPが流れて、大絶賛ののち急な寒冷前線が押し寄せ、一時は「逃げ恥 気持ち悪い」がサジェストに乗るくらいの勢いになった。今も乗ってるかも。 印象的だったのはこのツイートですね。 もちろんもっと言葉のキツいルサンチマンもあったし、フェミ・社会問題詰め合わせが気持ち悪い、という声もあったけど、最もインプレッションを叩き出した感想は、これくらい穏当な言葉の、普通に切実な「作品から切断された側」、流行りの言葉で言うなら「

          逃げ恥SPと鬼滅、カウチポテトの権力

          気づける人へ

          私はノンバイナリーとかXジェンダーとかそんなような呼び方をされるものである。 身体は女性。指向はアセクシュアル・アロマンティック。 さて、ここに書いてあることが今のあなたにはググらずにわかるだろうか。 そんな人間がさして多いとは思わない。 自分に性別があるということ、ずっと違和感があったけれども、そんな性質に名前があるということなど、ド田舎の限界集落で生まれて、ジェンダーだのフェミニズムだのの薫陶をまるで受けずに成人したあとずいぶん経つまで、考えたことすらなかった。 世の

          気づける人へ