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「アッシー」が死語になった。6分でバス停まで走る。

寝坊をした。自分に仕打ちがあるタイプではなく、相手に迷惑をかけるタイプのやつだった。

家を出る時間に起きた。のしのしと起き上がって、駅まで送ってもらおうと寝ている弟をつついて起こす。3回舌打ちされた。

昔、「アッシー」という言葉を母に教えてもらった。母が若い頃に使われた用語で、「足」=「車を運転してくれる男の人」という意味があったという。同様に、ご飯を奢ってくれる「メッシー」もある。

大学生になっても「アッシー」という言葉は全く聞かない。車好きな後輩が、付き合ってもない女の子を迎えに行ったり家に送ったりしているという話を聞いて、思わず「アッシーじゃん」と言ってしまったが、「なんすかそれ」と返された。初めて聞く言葉だったらしい。

その後輩にアッシーについてどう思うか聞いたところ、「好きで運転してるんで!あと女の子も可愛いし」とニコニコ答える。車を運転しなくてもどこへでも行けるのに、あえて車を運転するのは特技や趣味のひとつになっているようだった。

支度が終わって玄関に行くと、弟はさっきの出来事が嘘のようにそこにいて、ひょうひょうと話し始めた。このテンションなら送ってくれるか…!と思ったが宅急便を待つからと言う理由で断られた。10分かかるバス停までの道のりを6分で走る。

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