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バスの中ストーリー#1

高校、大学、合計6年間ほぼ毎日使っているローカルバスがある。

家が辺鄙なところにあるため、始発から終点まで往復50分の道のりは最寄り駅に行くまでに必要不可欠だ。

大学での定番の話題、「最寄り駅どこ?」にいつも困る。バス停の名前を言っても相手は知る由もなく、バスを使うんだと言えば、遠いね、大変だねと同情を食らう。終バス(最終便のバス)を逃せば、1時間かけて歩かなければならないので、酔い覚ましどころか完全に素面で家に着く。

日常の一部である往復の50分間、同じ空間にいるようで、そうでもない。乗る時間帯は日によって異なるし、乗客もその都度違う。そこではいつも、些細な"事件"が起こる。

他人同士のバスの中は、とっても小さな社会に見える。そこで生まれるコミュニケーションは、時に愛おしく、時に鋭い。自分は時に"事件"の当事者で、時に傍観者になる。何を見て、聞いて、どう感じるか。私自身を常に試されているように感じるのだ。

そんなバスの中の"事件"たちを、ひとつのストーリーにしてみたい。ふとした瞬間に思い出してしまうその記憶たちを、いま、残しておきたい。

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