あの匂いとあの音
匂いや音は記憶に残りやすい
その音を聞いたり匂いを嗅ぐだけで
当時の記憶が鮮明に思い出される、と言う。
本当にそうだと思う。
Cody-Lee(李)を聞くと
彼らを毎日のように聞きながら
スタジオに通った昨年の春を思い出す。
当時大学3年の春。
この街に住んで3度目の春だ
と謳われる歌詞に自分を重ねて
この街で買ったお気に入りの自転車を
40分漕ぎ続けていた。
居酒屋でたまたま届いた
隣の席の人の電子タバコの煙が
甘いブドウの匂いだった時
私は高校時代に通っていたライブハウスに
瞬間移動した。
Peaceのタバコの煙は
付き合いそうで付き合わなかった人を思い出す。
今夜はキャラメルポップコーンの香りで
映画館にいる気分になった。
そんな気分の中で
最近配信が始まった愛がなんだをみた。
愛がなんだ
劇中の彼女のセリフは
半分投げやりなように見えた。
自分を肯定するように
そう言うしかないように見えた。
執着にも似た、重たくてねっとりとしたそれは
他人だけでなく自分をも彼から離さなくする。
私が好きだったあの人のタバコの匂いも
その香りを見つけるたびに
その人を思い出してしまうようになった。
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