感想文:「地面士たち」
夫が見てたので、一緒に見始めた。ネットで面白いと話題になっているらしい。
作品の概要
土地の売買契約で、契約書の偽造、本人になりすますことで、億単位の利益を得ようとする犯罪集団にフォーカスしたドラマ。犯罪を成立させるには、専門的な知識、高度なチームプレーが要求される。業界では有名な犯罪グループが、大規模な地面士詐欺を計画することが、物語の本筋。
印象に残った点
犯罪グループの技術力が高く、現場で見抜ける人がいるのか?
地面士詐欺は、架空の取引を行い売買費用を振り込ませることを目的としている。通常の不動産契約を装い、公的証明書や運転免許証、印鑑などを偽造し、持ち主本人になりすます役者を手配する。その技術力の高さや計画性には驚いた。怪しい点は他にもいくつかあるものの、公的証明書に添付されている透かしや運転免許証のICチップの偽造は、一般人が見抜けるものなのか。
息を呑む展開が、物語りが進むにつれて加速する
全7回のエピソードで、最初の2回は地面士詐欺の内容や被害の大きさの説明が行われる。第3回以降、より大きな事件を計画する合間に、主人公の過去や地面士になったいきさつ、警察の介入などが巧みにプロットされる。本筋の地面士詐欺が成功するのか、主人公は目的を果たせるのか、警察は地面士を捕まえられるのかを推理しながら物語は進行する。第5回以降、物語がクライマックスに向かい、展開が目まぐるしく動いていく。一気見したくなること間違いなしだ。
拓海は人を殺したことがあるのか?
全体的には満足度高いのだが、一点だけ引っかかる。「拓海は人を殺したことがあるのか?」、更には「それにエクスタシーを感じているのか?」だ。
ハリソン中山は、拓海が自分と同じ価値観を持つことを直感的に感じて地面士に誘い、更には最後まで信頼し続けていた。
拓海は家族が死んだ原因は自分にあると考えているのかもしれないが、ハリソン中山が感じ取るものとは微妙に違うように思う。
終盤に病院室で、地面士を"仕事"として捉えていたこと、人を騙すことに快感を覚えていたのかもしれないと話すも、そこにハリソン中山と同種族の人間だということが曖昧なままになっているように感じた。
全体の感想
専門的な犯罪の描写やテンポの良い展開が魅力的で、非常に見応えのあるドラマだった。キャストのリアリティのある演技が物語に深みを与えていた。
役者の演技も、物語に厚みを加えてた。リリー・フランキーが自殺を強要された時の葛藤が非常にリアルだった。また地面士になる前と後、ホストや交渉人など多様な役割を見事に演じ分けていた綾野剛の演技もさすがだった。
観劇後には、犯罪の巧妙さやそれに対する社会の脆弱性について考えさせられた。正直不動産、地面士を見て、不動産業界の闇怖いと思った😂