私のせいにしていいからさ
元カレと一年ぶりに遊んだ
私の事を迎えに来てくれて、前と変わらず
「おつかれ~」
これから遊ぶのにいつも朝からお疲れの彼。相変わらずで私もつられて「お疲れ」と返す。
この感じが久しぶりで少しだけ頬が緩んでしまう。助手席のドリンク置き場には私がいつも飲んでいたお茶が置かれていた。
「いつもコレ飲んでたよね?」
「うん、よく覚えてたね」
「まあ、覚えてたよ」
「ありがとう」
彼はいつも飲み物を買って迎えに来てくれる。前と何も変わらない、変わらない。
映画までの時間は服を見たりして時間をつぶしていた。彼は私と出会って遊んでいくうちに服装が見違えるほどに変わった。服に興味が無かった彼は出会った頃はお世辞でもオシャレとは言えない服を着ていた。彼曰く、着れればいいとの事。彼の眼には服もただの布に見えていたのかもしれない。
私は服装がどうにかならないかと色々連れまわしてなんとか当たり障りのない服を何着か選んで彼に着せた。そのうち、彼は綺麗系な服を着こなす男になっていた。そこから眼鏡をコンタクトに変えたりと、彼の中でも見た目への変化があった。そして飲む度に「あの頃の俺はマジで服に興味が無くて今考えればヤバい服着てたなって思う。マジありがとう」って何度もお礼を言ってくれる。
私も彼がみるみるうちに変わっていくのを見るのは楽しかったし、変化していく彼がカッコよくなっていくのも感じていた。だからいつも「私が好きでやってた事だから別にいいよ」と返していた。
「映画よかったね~」
「だな、マジかっこよかったよなあのシーンとか」
「うん!ほんと見れてよかった~」
映画終わり、まだ帰りたくないなと思い
「少し見たいのあるんだけどいい?」
そう言って彼と見たい物があるわけでもない建物へ入った。
特に何もなかった。何も、私は思ったことを口に出しがちな所がある。今も、私は後の事を考えてない。私達は元々は付き合っていて、私から別れて、彼から一年連絡はなかった。私も連絡が来るまで連絡をしなかった。
「こっちから行こう」
彼が遠回りをした帰り道。私はほんの少し、まだ一緒に居たいのかなと思ってしまった。自意識過剰。すぐに自分に言い聞かせた。
わかってるよ、私から別れたからね。
「割と遅くなったな」
「ね、ごめんね。映画の後に色々付き合ってもらって」
「いや、別に平気。てか、楽しかったし」
「ほんと?よかった」
もう家が近い
「また遊ぼうね」
もう、少し
「ほい、到着~」
「ありがとう~運転ありがとうね」
「いえいえ」
車から降りる
「またな、あったかくして寝ろよ」
「うん。今日はありがとうね。気を付けて帰ってね」
車が出ていく、手を振る、車が見えなくなるまで
なんとなく、もう会えない気がして私は部屋に戻って泣いてしまった。私から別れて欲しいって言ったもんね。だからね、私のせいにしていいからさ、
もう少し一緒にいませんか