no,009 アップルジンジャーケーキ
【APPLE GINGER CAKE】
009は、長野県飯綱町でりんご農家を営む、宗像大樹さん・友紀さんファミリーとお菓子のお話。
まだまだ暑い8月の下旬、ちょうどブラムリーの収穫時でした。
ブラムリーとは、英国生まれの調理用青りんごで、強い酸味が特徴の野生味溢れるりんごです。
青々と生い茂るりんご畑で宗像ファミリーにお会いし、お話を聞きました。
横浜育ちの宗像大樹さん・友紀さんは、2018年に埼玉県から飯綱町へ移住しました。
当時の仕事は転勤と残業が多く、人間関係の気疲れなどストレスを感じていた大樹さんは、いよいよ海外転勤か、というところで移住を決断しました。
「以前からやってみたいと思っていた農業をしたい。やるなら果樹栽培がいい。果樹なら挑戦しやすそうなりんごがいい。」
りんごで移住先を絞り、飯綱町の雰囲気が決め手となったそう。
「農業に転職してからは、自由に自分のペースで仕事ができるようになりました。
可能な限り、一人でできる範囲を無理なくやるようにしています。
もちろん収入は減って、農業の見えない部分の大変さはあるけども、ストレスはなくなりました。」
と、話す大樹さん。
「飯綱は良いところ。子供をのびのびと育てられるし、地域の人にもみてもらえる。
地域の方に野菜をもらったり、もらったらりんごジュースでお返ししたり。
家族5人で一緒に、夕飯を食べられるようになったのが嬉しいです。」
そう話す友紀さんは、ハウスメーカーの在宅勤務をしています。
春樹くん・佑樹くん・映樹くんの3人の息子さんたちと一緒に、今は飯綱の暮らしに満足しているそうです。
『家族みんなで夕飯が食べられる』
特別なこだわりがあるわけでもなく、すごいわけでもなく、普通のこと。
当たり前のように聞こえますが、宗像さんは、自分が自分であるために、ただシンプルに自分の幸せを選択しました。
『買った分働かなくてはいけないが、買わなければ良い』
金銭だけでない、物と事の授受。
打算もなく、心からの心地よい循環。
我慢するのでもなく、そもそもの幸せが自分の中に在る。
いろんなもので隠れて、見えなくなっているだけ。
価値観や思考、そして豊かさの変化。
お二人の話の中で印象的でした。
自分だけの心地よい生き方、暮らし方、幸せの在り方。
自分がどう生きたいのか、どんな人生が良いのかを自分で選び、本来の自分に戻ったのだと思います。
本当の自分の幸せは、最初から自分の内側にあるのだなと感じました。
そんな宗像ファミリーをイメージして作った、アップルジンジャーケーキ。
お会いしたときの印象とお話をもとに作りました。
お父さんは、りんごジャム入りのクリームチーズフロスティング。
家族の屋根となり、みんなを大きく支えます。
お母さんは、たまにピリッと生姜入りのケーキ生地。
みんなを下から影から支えます。
長男の春樹くんは、クリームチーズと一緒に添えたアーモンドスライス。
さすがお兄ちゃん、頼もしさがありますね。
次男の佑樹くんは、ケーキ生地の中に入った甘酸っぱいクランベリー。
お兄ちゃんに続こうとするんだけど、まだちょっと甘えん坊です。
三男の映樹くんは、ケーキ生地の中に入ったりんごの甘煮。
甘くて可愛い可愛い、みんなの末っ子です。
りんごはもちろん、大樹さんが育てたりんごを使って。
冬らしいケーキになりました。
大切な家族と過ごすクリスマス、温かい灯が灯ればいいなって思います。