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4年間積み重ねてきたものがあるわけで

私は大学でも部活動をやるというなかなか数の少ない(と思われる)人間なのですが、
そのラストイヤーに4年生全員で寄せ書きをして最高の結果を掴もう!とみんなで大きな布に意気込みを書いたんです。

その時にキャプテンが書いたのが
「4年間積み重ねてきたものがあるわけで、それを全部出してきます。」的なタイトルにした内容でした。

当時は一字で「絆」って書いたり、「頑張ろう!」みたいなのが多い中ちょっと不思議な書き方だったので10年以上たっても覚えていました。
自分の書いたことは全く覚えてないのに……

気合いを入れたその大会は大きめの大会でしたが、一回戦を勝ち上がれず、相手校がそのまま優勝してしまったというちょっと苦い思い出です。

そこからずっと後輩達の活躍を追ってみている中でキャプテンというポジションにつくやつの持つ魔力のようなものに遭遇する度に、
我がキャプテンの言葉の重みを感じる様になった。

キャプテンを任せられるような選手ということは、下の学年から期待され、チーム序列も高く、能力も高いことが多いことが多いと思う。
その上で、人格者だったりっていう人間性を加味していることが多いのではないだろうか。

そして、そういうものを持ったキャプテンは、今までの試合以上に、最終戦では重要な場面でボールが回ってくることが多い。

中でも忘れられないのが、1部2部の入れ替えの試合で、このプレーで得点すれば、勝利が確定する場面でボールを持った後輩キャプテンだ。
このキャプテンの攻撃は失敗で終わり、下位リーグに降格してしまうのだが、このワンプレーに今までの、そして最後の一年の積み重ねを感じたわけです。

シーズン当初、任命の瞬間から、「お前、キャプテンキャラじゃないのにな」と話が出るような、選手ではあったが、前年度の活躍を見れば最もなチョイスだったとは思っている。
入れ替えがかかるようなチームだったので、練習も熾烈を極め、辛い瞬間が多いとは聞いていたが、このキャプテンはグチが多く、キャプテンとしてチームを引っ張るという感覚が見えて来ないやつだった。
自分自身が高めていれば、練習をただしていれば、キャプテンとして成立するのだという感覚だったのだろう。
もともとおしゃべりな選手ではなかったことと、そこまで仲良くなかったこともあり、直接話していたわけではなかったので憶測ではある。

そんなキャプテンに最後の最後、ボールが回ったときに神様っているんだなと感じたことを覚えている。
重要な場面で重要な仕事が回ってくる。回ってきてしまう。
これがチームを背負ったものに託される試練なのだろうと。
ボールを持ち前進していったキャプテン。
待ち構えるディフェンスには大きな穴はないが、チャンスもある。
そう見えていたのだが、タックルをくらい、ボールを落とす。
そして鳴る試合終了の笛。

「やっぱり、積み重ねたものがないやつはダメだな。」

そう話しながら帰った。
そしてその時に初めて我がキャプテンが書いていた言葉の意味というか真意を感じた。
自分たちも今までのルールを変え、新たなことに挑戦しながら、最上の結果を求めて活動した1年だった。
その一年の重みを22歳にして感じていた我がキャプテンと30手前の後輩の不甲斐なさを見て気づく自分。
すでに見ている高さが違っていたんだな。そんなことを感じる出来事だったわけで。

我がキャプテンは今でもラグビーを続けていて、仕事もがんばっているそうだ。
誰よりも早く大人になっていた彼はどんな人生を送るのだろう。

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ナナミ♂
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