幼児とさんぽに出かけよう
息子に出会うまでは
歩くのなんて大キライだった。
1歩でも少なく目的地に着きたい、
そんなつまらない人間だった。
でもそんなわたしの気持ちを
息子が見事に変えてくれた。
幼児とのさんぽ、最高じゃない?
とくに2歳児。たまらんね。
小さいお手てぎゅっと握って。
ゆっくりゆっくり歩くの。
お花がきれいだね、
鳥さんが飛んでるね、
風が強いね、
お月さまが見えるよ。
花鳥風月、愛でちゃうの。
風流すぎてマジ平安貴族。
3歳頃になって、
ジャンプ!ジャンプ!なんて
はしゃぎながら歩くのも乙だね。
ひたすら走り抜ける車の
車種を次々言い当てるのを
「ほー!」「へー!」と
適当に相づち打って過ごすのも
わるくないもんだ。
4歳になれば交通ルールもわかって、
横断歩道を手を挙げて渡る姿、
わが子ながら萌える以外ないね。
クイズを出し合ったり、
いっしょに歌を歌ったり。
たぶん家にいたらついつい
目の前の家事が気になったりして
ゆっくりできないような会話も
さんぽに出れば、自然とできる。
息子とさんぽに出かけなければ
頬を染める大きな夕日も、
空を真っ直ぐに渡る飛行機雲も、
街角の小さな花も、
何ひとつ気づかずに過ごしていた。
彼と見るいくつもの世界。
美しいなあ、いとおしいなあと思う。
こんな風にさんぽに出ることも
あと何年もしないうちに
きっとなくなってしまうんだろう。
彼が「おさんぽ行こう」と
言ってくれる間は、何度でも行こう。
この貴重な体験を、
一生の宝物にしよう。