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フライングで初詣の思い出を語る大晦日

京都に生まれ育ってよかったな、と思うことのひとつ。

「初詣」のバリエーションが豊富。

高校3年生のとき、クラスメイトたちと合格祈願のために、学問の神さまとして名高い菅原道真公を祀る「北野天満宮」へ初詣に行った。
年を越したらお参りするつもりで待ち合わせたのだけれど、天満宮に着いたのはまだ大晦日の23時過ぎ。わたしたちはそのお年頃特有のいい加減さで、そのまま参拝をすませ、みんなで年越しのカウントダウンをして帰宅した。

あの「初詣」以来、友達といっしょに年越しをして、その足で「初詣」をするのがわたしの恒例になった。

大学生になった年は、たしか「平安神宮」で初詣をした。
これは単純明快な理由で、友達が平安神宮で巫女のアルバイトをしていたからだ。

その翌年は、「八坂神社」でおけら詣りにチャレンジした。
おけら詣りとは、八坂神社でいただいた火を縄に移して持ち帰り、その火でお雑煮を炊いて食べるという風習。
23時頃に神社へ行ってみると、すでに長蛇の列。いやもう、想像を絶する長蛇。ディズニーランドなんて目じゃないぜ!八坂神社の参道となる四条通りの道幅いっぱいに、数百メートルにわたって列ができている。八坂人気、ハンパない。
結局、お参りできたのは深夜1時半頃で、おけら詣りなんてさっさと諦めて帰ってしまった。

たしかその次の年は、「青蓮院」へライトアップを見に行った。
優美というよりは、わりと派手な感じで面白かったのを覚えている。

さらにその翌年は、「知恩院」の有名な「除夜の鐘」を見に行った。巨大な鐘を僧侶が17人で衝くという、アレ。知ってる?想像以上に大迫力で、とても楽しかった。
この年、知恩院にはNHKの「ゆく年くる年」の撮影もきていて、友達と雪がしんしんと降るなか、おおはしゃぎした。

それから「南禅寺」には除夜の鐘をつきに行ったし、「善峯寺」にご来光も見に行った。「下鴨神社」や「清水寺」にも行った。

社会人になった頃からは、いつも夜9時頃から木屋町にある友達の行きつけの居酒屋で飲んで、店長に見送られながら初詣に出かけ、冷えた体でまた店に戻るというのが定番になっていた。ただいまーと言って戻ると、店長はアツアツのお雑煮を作って待ってくれていた。

朝方までお酒を飲んで、帰宅したらすこし仮眠して。元旦は家族とともにおせちを食べて、今度は氏神さまへ初詣に出かける。

気軽に「今度の初詣はどこに行く?」なんて、いま思えばとても贅沢な年の越し方をしていたものだ。
それもこれも、「京都」がわたしたちの「庭」だったからだ。

そのうちに、だれかが結婚し、出産し、あんな年越しをすることもなくなったけれど。いまもみんなで集まって、おいしいものを食べるというのがわたしと友人たちとのいつもの年末の過ごし方だった。

だけど、今年はそれさえもできない。

みんなはどうしているかな。
あの街はどうしているかな。

そんなことを考えながら過ごす大晦日。


あと数時間で年が明ける。
来年が、みなさまにとってよい年でありますように。

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