浄土教と出遭う
浄土教と出遭うといっても、そんなたいそうなことはなく、私の場合は一冊の本がきっかけだった。
角川から出版されている、「仏教の思想」という全12巻のシリーズの第8巻、不安と欣求〈中国浄土〉である。
当時の私は浄土教を鼻で笑って馬鹿にしていた。
「念仏で救われる? そんなことあるか。」と本気で思っていた。
そんな私がなぜか知らないが、浄土教の本を読みはじめた。
正直当時の私は浄土教の教義については、読んでいてもよくわからなかったが、そこに描かれていた、中国浄土の祖師方の生き様に感動した。
戦乱の時代、さらに途中廃仏という弾圧にあっても、教えを捨てることなく、仏法を生きた祖師方の人生は、私に浄土教というものを再考させた。
苦難にあっても、力強く人を立ち上がらせる浄土の教えとはいったい何なのか。
それが知りたくなって、浄土教の本を色々読んでみた。
そして、私は法然聖人に出遭った。