ジンとは何か?(2)
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ジンとは何か?(2)
前回「ジンとは何か?(1)」では大まかな目的とジンの定義について、そして一例としてEUの定義を参照し、最初の項目”1.Juniper-flavoured spirit drinks”について説明しました。
たった1つを説明するのに時間をかけましたが、それはこのJuniper-flavoured spirit drinksがジンとその仲間を示す最も大きな枠組みだからです。
この後の各項目は、全て1.の範疇にある中・小カテゴリーとなります。つまり1.の中から一定の基準を満たす一部を説明していく事になります。では続きを見ていきましょう。
2.Gin
ここでようやく「ジン」をはっきりさせることができます。EUの定めるジンとは、
a.農作物由来の規定を満たすエチルアルコールを、ジュニパー(Juniperus communis L.)ベリーで香り付けした、ジュニパーフレーバードスピリットドリンクの一種である
b.最低限のアルコール度数は37.5%
c.ジュニパーベリーの香りが主に感じられるならば、規定の範囲内で天然の植物由来の、またはそれと科学的に同一の合成香料を使用してもよい
となっています。
1.との違いはa.でジュニパーの品種をJuniperus communis L.に限定していること。それからb.の度数。そしてc.の香料の使用に関して、あくまでジュニパーベリーの香りを支配的に(”predominantly”)する事でしょうか。芳香植物の使用は1.でも可能ですので、2.のジンも可能ですが、これもジュニパーの香りを大きく阻害してはいけないものと思われます。
どんどんいきましょう。次は
3.Distilled gin
「さっきジンやったよね?」と思わないで下さいね。ここからは2.Ginのさらに下位カテゴリーに入っていきます。こちらの定義は
a. (ⅰ)農作物由来の、規定を満たす96%以上のエチルアルコールに、ジュニパーベリーと芳香植物(”botanicals”)をジュニパー主体で用いて香り付けしたものを、伝統的な蒸留器で再蒸留したもの。
また、
(ⅱ)上のディスティルド・ジン(3.のa.(ⅰ))に、同じ純度やアルコール濃度のエチルアルコールを加えたもの、つまり天然/合成香料を加えたアルコールや、2.c.のような”Gin”を混ぜたものを「flavour distilled gin」と呼ぶ事ができる
b.最低限のアルコール度数は37.5%
c.ただ単に農作物由来のエチルアルコールにエッセンスや香料を加えたジンはディスティルド・ジンには該当しない
と書かれています。a.がかなりややこしいですね(原文もややこしいので、日本のジン解説ホームページの訳もバラバラ・曖昧です)a.(ⅰ)は日本語のジンに関するホームページでも書かれている、一般的なディスティルド・ジンの説明です。a.(ⅱ)はその派生形として、「フレーバード・ディスティルド・ジン」と呼ばれているジンの説明になっています。「ベースがディスティルド・ジンであれば、同じようなフレーバードアルコールを加えてよい、ただしこれは本流のディスティルド・ジンとは明確に区別される」という事ですね。ラベルへの明記の義務がないのか、このあたりはボトルを眺めても分かりづらい区分だと思います。しかし、今日の個性的なジンの多くがブレンドを駆使して作られているので、実際にはかなりの数のジンがこの「フレーバード・ディスティルド・ジン」に含まれると思います。
c.の項目は、ジュニパーやボタニカルのエッセンスだけで作ったのはディスティルド・ジンではない→より広範な2.の「ジン」にはそれも含まれる、という事でしょうか。
読むのも疲れてきますが、もう少しだけお付き合い下さい。いよいよ次回の4つめの項目は、皆さんも聞いたことのあるかもしれないジンの説明です。
引用・参考
EUにおける蒸留酒の規定について(2008)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32008R0110&from=EN
英語版ウィキペディア:”gin”について
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Gin
お読みいただきありがとうございました。
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