5月の読書 一倉定の社長学
副社長が読んでいるとの話を聞き、初めて名前を知った。伝説の経営コンサルタント。
①経営計画書をつくる
社長自身が持っている経営理念に基づいた会社の未来像と実現のための行動指針方針書。これが経営計画の塊。
②この方針書に沿った経営目標となる目標貸借対照表、売上利益計画、資金運用表の3表を作ること。これが経営計画の仏になる。
①と②がバラバラが多い。①が大切で、それを②でやりきる。
一倉定の経営診断手法は、中小企業の現状を正確に把握し、具体的な改善策を提示することに重点を置いている。以下に、一倉定が推奨する具体的な経営診断手法の流れと内容を紹介。
1. **経営環境の分析**
- **外部環境分析**: 経済状況、業界動向、競合分析、市場のニーズなどを調査。これにより、企業が直面する外部の機会と脅威を明確にする。
- **内部環境分析**: 自社の強み(強み)と弱み(弱み)を把握。製品・サービスの品質、技術力、経営資源の充実度などを評価する。
2. **財務分析**
- **貸借対照表の分析**: 資産、負債、純資産の構成を確認し、財務の健全性を評価する。特に、自己資本比率や流動比率などの指標を用いて分析する。
自己資本比率が低いと、借入に依存しており、倒産リスクが高くなる。40%以上だと健全といわれ、20%未満は危険と言われる。
流動比率は短期的な支払い能力を示し、流動資産を流動負債で割った数字。200%以上だと健全といわれ、100%未満は危険と言われる。売掛金を早期回収し、流動資産を増やすのが必要。
- **損益計算書の分析**: 売上高、営業利益、経常利益、純利益などを確認し、収益性の状況を把握します。収益構造の問題点を見つけるために、費用構造の詳細な分析も行う。
特に企業の本業から儲けられる営業利益を一倉定は大事にしている。
3. **営業分析**
- **売上分析**: 売上の推移や構成を確認し、製品別、顧客別、地域別の売上を分析します。売上の増減要因を特定し、問題点を明確にする。
- **マーケティング分析**: 広告戦略、販売戦略、価格戦略などを評価し、市場での競争力を確認する。
4. **生産・業務プロセスの分析**
- **生産性の分析**: 生産効率、設備稼働率、不良品率などを確認し、生産過程の問題点を特定します。これには、現場の作業フローや業務プロセスの詳細な観察が含まれる。
- **業務プロセスの評価**: 業務の流れ、部門間の連携、ITシステムの活用状況などを確認し、効率的な業務運営がなされているかを評価する。
5. **組織と人事の分析**
- **組織構造の分析**: 組織図を確認し、指揮命令系統、責任範囲、業務分担の明確さを評価する。
- **人事評価**: 人材の能力、モチベーション、配置の適正さ、教育訓練の状況などを評価します。特に、従業員満足度や離職率などの指標も用いる。
6. **戦略とビジョンの確認**
- **経営戦略の評価**: 企業の中長期的なビジョン、経営目標、戦略の実現可能性を確認します。現状の戦略が市場環境に適しているかを評価する。
- **事業ポートフォリオの分析**: 複数の事業を展開している場合、それぞれの事業の収益性、成長性、リスクを評価し、最適な資源配分を検討する。
7. **具体的な改善提案**
- **問題点の整理**: 各分析結果から浮かび上がった課題や問題点を整理し、優先順位をつけます。
- **改善策の提案**: 各問題点に対する具体的な改善策を提示します。これには、経営戦略の見直し、業務プロセスの改善、人材育成計画、財務健全化策などが含まれます。なお、目標は前年比とかではなく、理想に近づくための目標にするのが特徴である
- **アクションプランの作成**: 改善策を実行するための具体的なアクションプランを作成する。これには、実行スケジュール、担当者の設定、予算の確保などが含まれる。
### 8. **実行とフォローアップ**
- **実行支援**: 改善策の実行をサポートし、進捗状況を定期的に確認します。必要に応じてアドバイスや調整を行う。
- **フォローアップ**: 改善の成果を評価し、さらなる改善が必要な場合は追加の対策を講じる。
### まとめ
一倉定の経営診断手法は、徹底的な現状分析に基づき、具体的かつ実践的な改善策を提供することが特徴。この方法を通じて、中小企業は自社の強みを活かしつつ、弱みを克服し、持続的な成長を実現することが可能になる。
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