1月の読書 職場の問題地図

『職場の問題地図』(沢渡あまね著)は、職場に存在する様々な問題を「地図」として整理し、その解決方法を示す実践的なビジネス書です。著者は、自身のコンサルタントやシステムエンジニアとしての経験を活かし、職場でよく見られる「困った」状況を12の問題カテゴリに分類し、それぞれに対応する解決策を提案しています。本書の目的は、職場の問題を可視化し、根本的な原因を見極めて改善へと導くことです。
本書では、職場の問題を次の12のカテゴリに分類しています。

1. 情報共有の問題
情報が適切に共有されず、業務に支障が出る状況を指します。たとえば、情報の属人化や伝達漏れです。解決策として、情報共有のルール化やツールの導入を提案しています。

2. 会議の問題
会議が長い、目的が不明瞭、結論が出ないなど、非効率的な運営が課題です。「会議のゴールを明確にする」「アジェンダを事前共有する」などの対策が推奨されています。

3. コミュニケーションの問題
職場内での会話不足や一方通行のコミュニケーションが原因で、誤解や対立が生じることがあります。本書では、「相手の状況を理解しながら対話を重ねる」重要性を説きます。

4. モチベーションの問題
社員のやる気が低下する原因として、評価基準の曖昧さや目標設定の不明確さが挙げられます。「目標の具体化」「適切なフィードバック」などが解決策です。

5. 育成の問題
新人や若手社員の育成が不十分なためにスキル不足が生じ、業務効率が低下するケースがあります。「OJT(On-the-Job Training)の改善」や「育成計画の明確化」を提案しています。

6. 業務の属人化
特定の社員に業務が集中し、他のメンバーが代替できない状況です。「業務手順書の整備」「業務の分散化」などで対応します。

7. タスク管理の問題
業務の優先順位が曖昧で、タスクが滞ることがあります。「タスクの可視化」「進捗管理ツールの導入」が有効です。

8. 仕組みの問題
現場のニーズに合わないルールや制度が障害になる場合があります。「現場の声を反映する仕組みづくり」を進めることが解決策です。

9. リーダーシップの問題
リーダーが適切に指導や意思決定を行わない場合、チーム全体の士気が低下します。本書は「リーダーのスキル向上」や「フィードバックの活用」を推奨しています。

10. 評価制度の問題
評価が不公平または不透明で、社員の不満を招くケースがあります。「評価基準を明確化し、頻繁にフィードバックを行う」ことが提案されています。

11. 働き方の問題
長時間労働や非効率な業務プロセスが生産性や社員の健康に悪影響を及ぼします。「業務量の調整」や「柔軟な働き方の導入」が改善に寄与します。

12. 組織文化の問題
変化を拒む保守的な文化や、心理的安全性の欠如がイノベーションを妨げる場合があります。「小さな成功体験の積み重ね」や「心理的安全性の向上」が必要です。

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