不安を丸くする
当たり前だった日常が崩れて、早くも半月経過。事態はよくなるどころか……です。
仕事、感染、お金、何より先が見えないことが不安を増幅させます。私も不安に押しつぶされそうになり、わああああと叫びだしたくなるし、眠れない日が続いたりします。でも、それはよくない。
何によくないのか? 免疫を下げてしまう。
なるべくストレスを発散させて、食事をとり、しっかり眠らないと自分の身を守れません。自分を、大事な人を守るためにも、少しでも不安をおさえるよう意識したいもの。
私は専門家でもなんでもない、不安に陥りがちな一般人です。
昔、あることで怒りや悲しみが溢れて止まらなくなり、どうしたらいいのかわからずにいた時期がありました。そのとき、仕事で脳の仕組みについて調べていて、「それ、まさに今の私!」と自分に起きている現象を知り、支配していた怒りや悲しみ、不安を少しずつ大人しくさせることができました。
単なる個人談なので、絶対これ!というものではないし、まあ試してみるか、くらいの気持ちで十分です。色々試して、自分に合う方法を探すことが大事だと思います。
脳は回路を作る
考えても仕方ないのに、ぐるぐると不安になったり怒ったり、気持ちが高ぶって涙があふれてたりしませんか?
これは脳の仕組みによって起こっている、自然な現象です。
強い感情は脳に刻まれ回路が作られてしまいます。そして、一度回路ができると優先的に信号が流れます。しかも、一度できた回路は消えず、強い感情ほどより信号が流れるという恐ろしい強化システム。マイナス感情の回路に流れていくと「どうしよう。何でこんなことにー」とぐるぐる不安になったり、涙があふれてしまうわけです。
回路が消えないなら、なす術なしじゃん!
そうでもないんです。確かに消えないけれど、信号が通らない弱い回路にすることは可能。使われない回路はないも同然ですよね。
そのためには不安が押し寄せて「うあああ」となっても、自分が弱いからとか責めるのはなし。そうじゃない。脳の仕組み。生きる本能の名残りで起こっている自然な現象だと認めちゃいましょう。むしろ、生きようとしている証拠です。
無理に不安を打ち消そうとせず、感情のまま大泣きするのも◎。ストレス成分が涙と一緒に流れてスッキリしますよね。でも、泣いても泣いても不安がおさまらない。一瞬、スッキリしてもまた…という場合には、回路が強くなりすぎているのかもしれません。
そらす。とにかくそらす。何度もそらす!
強くなった不安回路は、どうすればいいの?
「気持ちをそらす」
この一択です。簡単だけど難しい。それができていたら、回路でぐるぐるなってません。
具体的にはどうすればいいのか。
まずは、ほんの一瞬だけそらせばOK。例えば急に不安になったら「あ、回路に信号が流れた」と思うようにする。もう無理にでも思う。ほんのわずかな間だったとしても、その瞬間、信号は別のところに流れています。また、不安が襲ってきても大丈夫。しつこく「あ…回路に…」と思えばいいです。
と書いていますが、不安の波に飲み込まれてるとき、そんな冷静に考えられないもの。なので、私は頭の中に迷路のようなものをイメージして、工事現場で見かける誘導員さんに立っててもらいました。うあああってなる=迷路に入ろうとしているので、誘導員さんが「こっちは通れないから、向こうに行ってくださいね」と通さないようにしてくれる……って、わかりますかね? 書いていて恥ずかしい。
回路に信号うんぬんよりも、誘導員さんに助けてもらうほうがイメージしやすかったし、これで気はそらせています。要は不安回路を少しでも弱く、信号を他にそらせばいいわけです。
瞬間的に気をそらすことができるようになれば、もう少しだけ長くします。
ポイントは「自分が心地よく、無心になれるもの」。
ほんの少しでもホッとしたり、いいなあと思えるものを貪欲に求めます。単に好きな音楽や本というだけでなく、思いきり背伸びをすると気持ちいい、うっとりする香りでもOK。大好きな推しのことを妄想するのもいいと思います。一番、集中できそう。
不安が襲ってきたり、予兆を感じたらすぐ実践。そして、心地よさに集中するべし。ああああ気持ちいいとか、いい匂いいいいと貪欲に感じましょう。ランニングやダンスなど無心になれる軽い運動もオススメです。
これは不安回路への信号を減らすのと同時に、新しく心地いい回路を作るという合わせ技。大事なのは、自分が心地いいかどうか。どんなにまわりが「いい」と言っても、自分が心底思っていないと新しい回路はできません。
その代わり、心地いい回路を作ることができたらこっちのもの。脳はまた味わうため同じ行動を繰り返すよう指示を出すそうです。そうやって心地いい回路に信号を流す回数を増やしていけば、必然的に不安回路は弱くなっていきます。
苦しいときは深呼吸
無心になれず、どうしても不安回路を弱くできない。そういうときに威力を発揮するのが深呼吸です。
といっても、ただゆっくり呼吸するだけでは電流をそらすのはなかなか難しい。オススメは数を数えながらの深呼吸です。とっても簡単で、場所を選ばないのもポイント。
ひとーーー(ゆっくり口から吐く)つ(鼻から吸う)、ふたーーー(ゆっくり吐く)つ(吸う)を九つまで続けて、最後、とおーで吐ききる。
これだけ。落ちつくまで、ひたすら繰り返す。一回でダメだったら、もう一度、ひとーーーつから始めればいい。
この呼吸は数えることに集中する、ゆっくり吐いて副交感神経を優位にしてリラックス、二酸化炭素を吐ききることで新鮮な酸素を多く取り入れて活性化という3つを同時に叶えてくれます。数は声に出さずに、頭の中で数えればOKです。眠れないときにもぜひ。
私はこの呼吸に何度も助けられました。
電車の中やふとしたすき間時間に不安回路が回りはじめると、もう誘導員さんも呼ぶこともできない。そういうとき落ちつくまで何度も繰り返すと段々と呼吸に集中できて、不安が静まっていきました。
あと、かつお節を摂ることもオススメです。
タンパク質豊富な発酵食品で体にいいからというのもありますが、かつお節に含まれるヒスチジンは継続して摂ることで疲労、不安、怒りを軽減する効果があるといわれています。温かい飲み物は体だけでなく、心の緊張もほぐすので、いつものお味噌汁にかつお節をプラスするとさらに効果的。
非常事態の今、不安の根本を解決することは難しいです。
でも、自分を苦しめる不安の角を少しずつ取って丸く、弱くすることは可能だと思います。薬のような即効性や劇的変化はないですが、手間もお金もほとんどかかりません。無心になれる心地よさ、深呼吸を意識してみませんか。