10年越しのシュークリーム
高校生の時、色んなおやつを作っていた。バイトを始めたおかげで少しずつ製菓用品も集め初めて、手を出せるものが広がっていくのが楽しかったなあとあの頃を思い出す。
手を出したおやつ、その中のひとつがシュークリームだった。
10年前に作ったシュークリーム
記憶に朧げなんだけど、コンビニのおっきいサイズまでは行かない、みたいなサイズで焼いて、レンジで作ったカスタード炊いて生クリームと合わせたのを詰めた覚えがある。でもそれ以降、シュークリームを家で作ることはなかった。なぜなら、コンビニに行けば100円で美味しいものが買えたからである。なんて情緒のないやつだ。とりあえず「私はシュークリームを作ったことある」で完結してしまったらしい。今思うとなんともお恥ずかしい思考回路だったな。製菓にのめり込んでる今ならわかる。一回作ったというだけで、本当のところ、何も得てないような気がする。
そして大人になった今、シュークリームに再チャレンジしようとしている。まあBRUTUSのカスタード特集を見てうおおお作りてえええって思ってから数ヶ月経ってるんだけどね。他にも作りたいもの多いんだよ。
レシピはこちら。danchuのサイトより。
まずシュー生地をつくる。小鍋に砂糖塩、水と牛乳、バターを入れてぶくぶくと沸騰させる。
ここからスピード勝負。火からおろして粉を一気にいれ攪拌する。溶いた卵を少しずつ入れていく。ホワイトルーを作るのに少し似てる。
楽しみだなあ。これがふわふわのシュークリームになるのか。
昔作った時のことを少しずつ思い出してきた。確か卵は全部使っちゃいけないんだ。生地の状態をチェックしつつ入れる。大体このくらいかしら。
なんか無駄に臨場感出たな。ブレた。
絞り袋に入れて6等分。シュークリームこそソーシャルディスタンスを保たなければな。
半分はアーモンドダイスをふって、200℃に予熱したオーブンへ。20分ほど焼く。
…………おや?
暴れてんなこの野郎。
特にこいつ。オーブンに入る前までは丸かったやん。何でパックンみたいな形に変身しとんじゃ!!
縦の膨らみもまばら。鉄板の入れ替え必要だったかな。
しかしクリームはもう用意してあるんでね。無理矢理でも入れますよ。いっただきまーす。
……えー、、、美味いやん。
コンビニのシュークリームより断然美味い。形こんななのに。焼き立てのシュー生地、全然乾燥してなくてしっとりしてて美味しい。そしてバターとミルクの風味がちゃんと残ってる。こりゃリベンジあるのみ。
リベンジ!
週末、感覚を忘れないうちにリベンジに取り掛かることに。まずは失敗の要因をリストアップしようと思い、様々なレシピを読み込んだ。
そこで思い出したのは、高校の時使ったレシピだ。10年前に使ったレシピなんてない?いや、実はある。
noteにこのノートを公開する日が来るとは。中学生の私は夢にも思っていないだろう。拙い字を丁寧に読んでいくと、なんとも基本的な、でも大切なポイントがしっかり書いてあった。
かっこつけてフランス語でパータ・シューと書いている。中学生ぽいな。
①霧吹きを怠った
どしょっぱなからなんたることよ。だって家になかったんだよ霧吹きが。しかしまあ色んなレシピに書いてある。焼成中に生地の表面が割れると膨らみの伸びが悪くなると。
これは百均に走って解決した。始めから用意しとけや私のドアホ。
②生地の糊化が足りない
これはどうだろう。お菓子ノートによると鍋底に膜が張ってきたら糊化したってサインらしい。
③割れ目のアシスト
いろんなレシピを見てみたが、フォークでてっぺんをならす方法、箸で四隅に切れ目を入れる方法などがあった。友人が後者で上手く行った話を聞きつけ箸切れ目法にて実践。
そんなこんな反省点を踏まえてレッツゴー。
なんか丸くないよね。うん。そうなんですよね。
絞り袋が崩壊しました。
原因は分かっている。バカなのでレシピを少し変えたせいだ。薄力粉を半量くらい強力粉にしたらめっちゃグルテン出てしまって固い生地になった。なんとか絞り袋に入れたものの力を入れすぎて崩壊。まじアホの極み。
何はともあれ焼きました
・・・ええ感じの子もちらほら?
いや、全然理想には程遠い仕上がりなんだけど、前より膨らんでない?やっぱ霧吹きって偉大なんだな。
こちらの生地も前回同様美味しくいただき、しかしな〜んか消化不良である。ということで。
リリベンジ!!
……と、実はこの間がかなり空いた。次にどのレシピを参考にするかが、なかなか決まらなかったのだ。
しかしここで、クローゼットの大掃除をしてたら10年越しならぬ20年越しぐらいのレシピ本と再開する。
これだ!!!!!
四隅が破れている、なんとも年季の入った本だが、これ同世代の方々はバイブルなんじゃなかろうか……?もし該当者おりましたら、コメント欄でみなさんの好きな話で盛り上がりませんか?わたしは特に『わかったさんのアップルパイ』が好きだった記憶があります。図書館で順番に借りて読んだけど、一冊だけ買ってもらった覚えがある。
わかったさんの絵本には必ず最後にレシピページがあるのだ。こちらの力を借りよう。
レシピ通り丁寧に進めていく。
生地の状態もいい感じ。後学のために卵の量を測っといた。Lサイズ二つで115グラム。やはりシュークリームの誤差は卵からくる気がする。
慎ましやかなサイズで焼いてみることに。少しデカめのプチシュー。
焼成
焼き方も少し変えてみた。今度は上手く行くだろうか……
きたーーーーー!!!
キャベツ!!キャベツになっとるよ!!!よっしゃぁ!!!!!!
嬉しくてオカンに自慢しまくる。「クリームなしのシュークリームできました〜!」「ほお〜」程度の薄いリアクションされた。クリーム入ってないと人権がないの可哀想だなシュークリーム。
何はともあれやっとこさですよ。
手のひらサイズのシューが14個産まれました。仕上げは翌朝に。
さあ仕上げにかかろう
カスタードはいつもどおり炊いて裏漉ししたのち冷やしておきましょう。ゴムベラでねりねりしてほぐしていきます。最近ルスルスのレシピ本のおかげか、カスタード美味しく炊けるようになってきて嬉しい。
サザエさんのあれ。チャラチャッチャー♫のあれ。ちなみに日曜のアニメはちびまる子ちゃんのほうが好きです。サザエさんの笑いのツボが全く響かないんだよな……。
カスタード、からの生クリーム!攻撃力高い!
蓋して粉砂糖ふりふりして出来上がり〜!小原さんのお皿にたっぷり乗っかりました。
完成……!!
いつもより完成の一言に重みが…!!10年ぶりの成功体験に興奮状態。
ティータイム🫖
いつもこれ「SHOW TIME‼︎」のテンションで叫んでますんで、みなさんもぜひアゲアゲで読んでください。カスタードに生クリームですもの。
昼寝してたおとんが起きてきたので一緒に食べる。小さめのサイズなので自然と二つ目に手が出てしまう。ふわふわのシュー、濃厚カスタード、至福の時だ……。なによりシューの成功が全てを美味しくさせる。
ちなみにわかったさんのレシピでカスタードは出てこなくて、生クリームを泡立てるというシンプルな工程になっている。子どもでも作りやすいように描かれているなあと改めて実感。あとは卵白が残らないよう設計されてるのかも。
いつもは生クリームとカスタード混ぜてディプロマットにしちゃうけど、今回は見た目だけでもと思い絵本に寄せて仕上げた。
さて、わかったさんのおかげでシュークリームも成功に終わったわけで一件落着、かと思った。
これを見て欲しい。
あの絵本を探すにあたり、もう一冊出てきた本がある。『わかったさんのプリン』である。私が所持してるわかったさんはたった一冊のはずである。
見つけた瞬間、
「あっ、やっちまった」
と思った。
忘れたんじゃない、思い出せないだけとはよく言ったものである。小6かそこらあたりの友人との会話が、記憶の引き出しから突然出てきた。引き出しの中というよりもはや引き出しの奥に挟まってたぐしゃぐしゃの書類が出てきた感覚の方が近いかもしれない。
「ねえみちさんよ」「おお?」「わかったさんのプリン、みちさんに貸しとったっけ…?」「えー??どうだっけ??探してみるわ〜」
15年間、借りパク、している。
そんな引き出しの奥に挟まった事実に気づいた瞬間、すぐ東京に住む友人にLINEした。
友人の心のバイブルを15年近く借りパクしてるなんて……申し訳なかった。マジですまん。ちいかわのスタンプのおかげでことを荒立てずに済んだに違いない。ちいかわは神。
あなた使うだろうから持ってていいよあげるよと言われたのだけど、いや次会う時に持ってくと言うと「たしかに10年以上越しに借りパクされたものが戻ってくるのはちょっと面白い」と返された。そういうところが15年以上付き合いが続いてる所以な気がした。
無事返しました
東京旅行への荷物を詰めたリュックサックの奥底にブツを仕込み、無事東京にて返却することができました。もはや返還の儀。15年ぶりの持ち主のもとで安らかに過ごしてくれることを願う。
東京旅行の話はまたの機会にのんびり綴りたいなあと思います。みなさんのおすすめおやつ、どれも素敵で美味しそうで、時間が足りなかったことが悔やまれます…!!夏か秋ごろ、もうちょっと余裕を持って滞在したい…。
10年越し、いや15年越し?
シュークリームは10年越し、懐かしい絵本にいたっては15年ぶりの再会となった。借りパクしてた絵本も発掘された。なんだかわちゃわちゃした週末だったなあ。書きまとめるのも一苦労。前半に至ってはテキトーな下書きに寝かしてあったものを掘り起こすように推敲しました。
なんとか形になったところでほっと一息。でもシューといえばクッキーシューやパリブレスト、エクレア、とにかくいろんなおやつになるもの。掴んだコツを忘れずに、またいろんなおやつを焼いていきたいな。
では今週末、これにて!