花束みたいなクッキー缶を贈る
人に花束を贈るのが好きだ。
それは単純で、花束をもらった時に自分が嬉しいからである。なんとも単純かつ明快。されて嬉しいことは好きな人たちにも押し付けてくスタイル。
これは夏に、お世話になった人たちからもらった花束。こんなピンクピンクした花束をもらったのは久しぶりだったので、なんだか嬉し恥ずかしだった。花は枯れてしまうけど、貰った時の気持ちは覚えているものだ。
春の佳き日に
大学からの友人がこの春、結婚することになった。
ライブハウスで出会った彼女はひとつ歳上で、いつもとろんとした視線が魅力的で、ベースが上手かった。バンドの趣味は少し違ったけど、好きなクラシックは似通ってたように思う。大学は違ったものの、春はみんなと一緒にピクニックに行ったり、冬は鍋を囲んだり、社会人になってから楽しい時間を過ごしてきた友人のひとりだ。
そんな彼女は嬉しいことに、私の作るおやつをいつも褒めてくれていた。こそばゆい。
なので魔がさして「お祝いにクッキー缶贈ってもよいですか?」と言ってしまった。
構想を仕込む
今回は花嫁に贈るので、花束をテーマにしたクッキー缶を焼こうと決めていた。人様のハレのお祝い事におやつを焼くのは初めてで、なんだかワクワクしてしまう。彼女の好きなフレーバーを聞いて、構想を練る。あ、サブレ生地は練ったらいかんよ。
クッキー缶名物の走り書き。これをしてる時、楽しくて仕方がない。仕事の休憩時間に書いたりしてる。
ということで、今回も2日間かけて焼き上げました。
春の佳き日のお品書き
うさぎとクローバー、アイスボックス二種、桜の押し花サブレ、木苺のメレンゲ、いちじくジャムサンド、瀬戸内レモンサブレ。愛する我が子たちの生まれる工程を、今日もつらつらと綴ろうと思います。よければお付き合いくださいませ。
木苺のメレンゲ
クッキー缶作りはメレンゲから始まる。一番焼成に時間がかかるから、焼いてる間に次の生地を仕込んだりできるのだ。メレンゲは今のところ打率三割三分という、野球選手なら一流だがパティシエだったらかなりまずい数字を叩き出している。野球選手でもパティシエでもないので気楽に行きます。まあ、今回は上手く行った方だと思う。打率が上がりました。
イタリアンメレンゲでしっかりめのメレンゲを作り、ラズベリーパウダーを少々。
口金は8切れの小さめのものをチョイス。どんどん絞ってくよ。力を抜いて〜。いちっにっさんし!アルソック!!はいそれ!!とリズム良く行こう。
あーらカワイイ桜の口金も登場。絞りもしっかり出てるし、この感覚を忘れたくないな……!!このあと90分ほどしっかり乾燥焼きして完成。瓶に詰めておきます。
乾燥剤も忘れずにね。桜の口金、これからも春に重宝しそうだ。
アイスボックス
フープロでガーして作ります。紅茶はアールグレイの茶葉を一袋分、少しお湯で戻してから投入。ほうじ茶はパウダーを使って、最後にチョコチップを入れた。ほうじ茶×チョコチップ、絶対美味しい気がするんだけどやっと試せるぜ……!!
1センチ幅に切っていきます。今まで色んなレシピを見てきたけど、一晩冷蔵庫・1センチ幅が一番切りやすい。数時間冷凍庫や半日冷蔵庫など色んなものを試した中でこれが自分に合ってるなと。
自分史上最高な仕上がりでは??
大袈裟だって?いや今までアイスボックス失敗し続けてきたんでね!!めっちゃ嬉しい!
これこれ、この均等な幅とフチのほんのり焼き色。お手本のようなこれを作りたかったんだよ〜!!念願の美しきアイスボックスだ。この成功をしっかりレシピノートにまとめておかねば。
桜の押し花サブレ
春恒例、押し花サブレの登場。なんやかんやで富澤の桜の塩漬け、毎年買ってるわ。そういや去年も焼いてるな。細かい工程はこちらから。
今回生地は、ずっと気になっていたtokaさんの米粉のぽりぽりクッキーのレシピをお借りした。
米粉と最近良い仲になっているので、色んなレシピを試しているところ。小麦粉よりさらさらしてて気持ちいい〜。
レシピでは洗い物を減らすため袋で全てを混ぜるとなってるけど、じょうぶな袋がなかったためボールで。
材料を入れる工程はなかしましほさんのオイルと豆乳のクッキーと同じようにやってみた。このあとひとまとまりにして、型抜き。
塩抜き
と呼んでいる。そのままだと少ししょっぱいので、水につけて塩気を減らす。
ぎゅっと生地の上に乗せたらグラニュー糖ひとつまみ。これがあまじょっぱさの秘訣。あと見た目がきらきらして好き。
焼成
食感を良くしたかったのでこんがり目に仕上げた。ぽりぽりしてて美味し〜!こんどは普通にプレーンでも焼いてみたいな。
プレーン生地の行方
今回はルスルスの基本クッキー生地をもとに、何種類かに枝分かれさせた。今年の自主研究課題である。
いちじくのジャムサンドクッキー
いちじくは季節じゃないけど、彼女が好きな果物がいちじくと言ってたので選んだ。実は数年前のピクニックで私が持ってきたいちじくが、なんと人生初のいちじくだったらしい。お馴染みアヲハタのいちじくジャムを使う。
薄めの2〜3mmに伸ばした生地で、菊型の輪っかを作る。
塗り玉してこんがり焼きます。
組み立ててレンチンしたジャムを流し込んだら完成。ジャムサンドは何度も作ってるので慣れてきたな。
うさぎとクローバー🍀🐇
ぴょんと跳ねるうさぎ。本当は鳩にしようかと思ってたのだけど、友人が私のクッキーの「うさぎがかわいい!」と言ってくれていたので。苦難や困難を軽やかに超えられますよう。幸せの四つ葉も添えて。
クローバーは抹茶にしようかと思ってたのだけど、抹茶が少し苦手だと言ってたので塗り玉してピスタチオを彩りにした。
ぴょーん!うさぎだらけ。夢に出てきそう🐇このうさぎの型もお気に入りでもう何年か愛用してる。いつか愛するうちのクッキー型たちのこともnoteに書きたい。
瀬戸内レモンサブレ、ハーブを添えて
なんかフランス料理みたいな小洒落た名前になってまったな。富澤でローズとラベンダーをゲット。ケーキの飾りにと思ってたんだけど、クッキーにも活用しよう。
プレーン生地をスクエアで型抜きし、レモンアイシングを施して、上からパラパラ。香りが良いので、口に運んだ時にふわっとラベンダーの匂いがした。見た目も香りも楽しんでもらえるといいなあ。
おまけのまんまるバニラ
計画にはなかったもの。プレーン生地が想像以上に多かったので、3番生地にバニラペーストを加えてまんまるく抜いたもの。家でのおやつ。
クッキー大集合
焼けたクッキーたちを網に乗せていくとあっという間にテーブル一面に埋まった。クッキー缶を仕込む時は普段の網だけでなく、BBQ用の金網も出動する。今回は過去最高、オーブン10回転を記録した。自分で言うのもなんだが焼きすぎたな。
缶に詰める
ほぼ計画通り入って満足なり。順番はジャムサンド→押し花サブレ→紅茶アイスボックス→ほうじ茶アイスボックス、これらで先に四隅をかためて、レモンとハーブ→うさぎとクローバー→メレンゲで埋めるといったところ。家用にと焼いたまんまるバニラは、最後の最後にちょうど入り込んだ。
東京に住む友人の誕生日が近かったので、少し小さいサイズでもうひとつ仕立てた。
見にくいけど小さいサイズは桜色の缶なのだ。春らしくてかわいいね🌸
おくるみ
さくらんぼが好きって言ってたので、マスキングテープにさくらんぼ🍒シンプルにおくるみしてお手紙をはさむ。やっとこさ完成〜!
地元のお花屋さんへ
友達にクッキー缶を渡しに行く道すがら、地元の花屋さんへ立ち寄る。
ここのお庭のミモザがあまりに綺麗で、花束を予約した時に思わず「ミモザも入れてもらえますか?」とオーダーしてしまった。
小さなブーケ
こんな素敵なブーケを仕立ててもらった。背景でボヤけていますが、店内のお花や器ひとつひとつからこだわりを感じるお店なので、待ち時間も眺めてるだけで癒された……。
花嫁に贈ったハレのおやつでした
私にとっておやつを作ることは、子どもの時からの遊びの延長線にある。幼いころからモノづくりが好きだけど、無意識にモノの先にはヒトがいるといいなと思っている。
彼女にクッキー缶と花束を渡すと、満面の笑みで大事に食べるねと言ってくれて、ああやっぱり私は人にごはんやおやつを作るのが好きだなと、再確認したのだった。