脳から消えた姉の話、その8
八、お互いの結婚
23歳の時、私はいわゆる授かり婚で、結婚することになった。
姉より早く結婚することになったのだ。彼と実家に挨拶に行った。その頃の姉は,例の社長の息子とは別れて平凡な男性と付き合い始めた頃だったのだ。
私の彼の緊張からくるわざと冗談を行ったり軽い感じに話をする態度が、最初から気に入らなかったのか,狐目の男は嫌いだとか,ケチばかりつけてきた。母には相当結婚の順番が違うと怒ったらしい。そして今まで友達やボーイフレンドを姉に紹介するたびに,その人たちから言われた、「お姉さんは美人だなあ」の発言が彼からなかったことも気に入らない様子だった。
それでも結婚の話が進み,私の結婚式に振袖で参列した姉に綺麗なお姉さんと言われることに快感を得ていた。
私はただただ嬉しくて,姉がチヤホヤされて花嫁より目立とうとしていることもあまり気にならなかった。姑になった彼の母が、「みんなお姉さんが綺麗じゃ言うけど気にしなんな。私も息子もあんたの良さをわかっとる、私らはあんたでよかったと思っとるよ」
と、言ってくれたのが本当に嬉しかった。
そして次の年,私は赤ちゃんを産んだ。
出産後実家に里帰りしたが。母も姉も仕事していたので,昼間は1人で赤ちゃんを見なければならない不安な生活だった。母は全力でサポートしてくれたが姉は傍観的だった。
その一年後、姉は平凡なおとなしい男性と結婚した。あれだけ実家暮らしが嫌だと言っていたのに、結局マスオサン状態で同居になったのだ。
結果的に私から実家を取り上げた感じとなった。