おかみ

こんにちは♪ 60歳で24年続けた仕事に区切りをつけ、今は資格をいかして某私立保育園で…

おかみ

こんにちは♪ 60歳で24年続けた仕事に区切りをつけ、今は資格をいかして某私立保育園でばあちゃん保育士をしています。時間に余裕ができたのでいろいろ書いてみようかと!よかったらお付き合いください

最近の記事

10歳から人生が変わった。その9

 寮の夏祭り    夏休みの最後に寮の夏祭りがあった。  この日ばかりはたくさんの地域の協力者が寮の庭に集まり,夜店やゲームなどで賑やか。いつもはあまり入居者と接しない太田先生のところのお兄ちゃんたちが,太鼓を叩いて盆踊りが始まる。私たちは浴衣を着せてもらい夏祭りを満喫していた。 「楽しいなぁ」と太田先生に言うと 「みっちゃん,こう言う楽しいなぁ、とか幸せだったなあと言うことよーく覚えておくんよ、人はその思い出を力に辛い時とか乗り越えれることもあるから」  そのためにみんなこ

    • 10歳から人生が変わった、その8

      私の場合 2️⃣ 「みっちゃん、、最後の晩餐や」と私と母を高級寿司店に連れて行ってくれた。  個室で向かい合って無言のまま、寿司を食べた。「こんなことになったけど元気でな、困ったことがあれば店にいつでもきてくれたらええから」  私は何も言わずに頷いた。「お父ちゃんは口がうまいからあんまり信じんほうがええよ」と母が言う。 「さあ、みっちゃんが食べ終わったらお別れじゃ、早よ食べて」と母が言う。 私は最後のタコが噛み切れずもぐもぐ、「まだ口にある」と  なかなか立ちあがろうとしなか

      • 10歳から人生が変わった,その7

         私のの場合  五年生の一学期が終わる頃、母が真剣な顔で「ごめんな、いろいろ頑張ったけどもうダメなんよ、お父ちゃんとお母ちゃん、離婚することになったから」と、私に話す。 「えー」しか言えなかった。もちろん、大変なんだと言うことは知っていた。父は商売をしていて、私が生まれた頃は、大きな紡績工場の近くでお好み焼き屋をしていた。女工さんたちが来てくれるそこそこ繁盛していた。父はアイデアマンで今では当たり前に見る、スタンプカード、十個貯まったら割引、カードが5枚になったら旅行を企画な

        • 10歳から人生が変わった、その6

          太田先生の場合  太田先生はここに大学生と高校生の息子さんたちと暮らしている?  ここには、男性から酷い目を受けて、逃げてくる女性たちばかりなので、身長の高い男性は怖がられるからという理由で、大学生のお兄たんたちは、できるだけ寮の利用者とは顔を合わせない様にしているらしい。先生も、DVの被害者で大阪あたりから逃げてきた人だと後から聞いた。。  チャキチャキの大阪弁といつも強そうなスポーツウーマンの様な先生にそんな辛い過去があったとは知らなかった。 「みっちゃんのお母さんと私は

        10歳から人生が変わった。その9

          10歳から人生が変わった  その5

          よしえちゃんママ     初めてよしえちゃんママを見た時は、お姉さんかと思った。  ニ歳になるよしえちゃんのママだとあとから、知った。よしえちゃんはほとんど寮母の太田先生の部屋にいた。よちよち歩きのよしえちゃんが「ママ」と、抱きつきにいくのはいつも太田先生だった。  だからてっきり太田先生の子どもだと思っていた。リビングでいつも漫画読んでるお姉さんがママだとは思いもよらなかった。  高校生の時に大学生と付き合っていて妊娠して、親に打ち明けた時はもう臨月近くなっていたとか。親も

          10歳から人生が変わった  その5

          10歳から人生が変わった。その4

          貞子ちゃん  貞子ちゃんは、私と同じ小学五年生だが、とても大人びてみえた。  長い髪の毛を三つ編みにしていて、声のトーンも低く,笑っている顔が笑顔に見えない不思議な人でした。 「同級生だね、よろしくね」と私が言うと,鼻でクスッと笑いながら 「何をよろしくされたかわかんないけど、同級生は事実だわ」とボソッと言い部屋へ消えた。  夏休みでも彼女はあまり部屋から出ず,あんまり会うことも話すこともなかった。  しかしある日の出来事から、本当の彼女を少し知ることになったのだ。  その日

          10歳から人生が変わった。その4

          10歳から人生が変わった。その3

          お風呂は入る時間をだいたい申告して順番に入る。ちょっとした銭湯くらいの広さでとても快適。  私はだいたいご飯を食べて,九時からの赤いシリーズなどのドラマが始まる前の十分間のニュースの時間にお風呂に入ることにしていた。  その時間はいつも、寮の玄関のロビーに足を組んでタバコを吸っているそうすけママがいた。長い髪の毛を片方に寄せ色白のうなじがくらやみに揺れ近寄ると香水の匂い、そして、テレビの女優のような完璧なメイク、大きな吸い込まれるような瞳が子どもの私から見ても妙に艶っぽくで,

          10歳から人生が変わった。その3

          10歳から人生が変わった

          2️⃣  ひでこのかあちゃんの場合。  地元では有名なかまぼこ工場に勤めているひでこのかあちゃんは、今でいう,いわゆる知的障害者だった。朝九時に出て三時ごろ帰る。帰ってきて、寮の玄関を入ったとたんに「ひでこー」と大声で呼びながら自分の部屋に入っていくのである。  その頃の母子寮は六畳と三畳と小さなキッチンとトイレがひと世帯に与えられていた。お風呂は共有だった。そして一階には大きなリビングのような部屋があり、大きなテレビもあるので、結構部屋から出てきてみんなが集まっていた。

          10歳から人生が変わった

          10歳から人生が変わった!

          今から50年前のお話。 10歳の時の思い出。今思い出してもあの濃い、1年が私の人生の原点だったようにおもえる。 1️⃣「こばと寮に入る」の巻       「ひでこー」「ひでこー、どけぇおるん?」  少し鼻にかかったその声はほ、コンクリートで作られた、三階建ての建物全体に、響きわたる。ひでこのかあちゃんが帰ってきたのだ。 白衣と呼ぶのもしのばれる茶色のシミだらけの仕事着のまま、天ぷら油とお魚の匂いがまざった独特の残り香が、廊下中に蔓延している。その声が聞こえてくると、私は自

          10歳から人生が変わった!