10歳から人生が変わった。その9

 寮の夏祭り
 
 夏休みの最後に寮の夏祭りがあった。
 この日ばかりはたくさんの地域の協力者が寮の庭に集まり,夜店やゲームなどで賑やか。いつもはあまり入居者と接しない太田先生のところのお兄ちゃんたちが,太鼓を叩いて盆踊りが始まる。私たちは浴衣を着せてもらい夏祭りを満喫していた。
「楽しいなぁ」と太田先生に言うと
「みっちゃん,こう言う楽しいなぁ、とか幸せだったなあと言うことよーく覚えておくんよ、人はその思い出を力に辛い時とか乗り越えれることもあるから」
 そのためにみんなこんなにたくさんの人が協力してくれているのだとおしえてくれた。

 そんなことがあってから小鳩寮の生活にも慣れて半年くらい経ったころ、母が来年の夏に新築でできる市営住宅に入れることになったと喜んて帰って来た。「来年また引っ越しで学校も変わるけど、我慢してな」
 と言う母に
「えー嫌じゃ、そんならひでこのおばちゃんの話は誰が聞くん?うちはここがええ」
「何言っとん?あんた一生ここにおるんかな?よう考えられ!」と怒り気味のお母ちゃん。
「ほんならお母ちゃんが,思い出に残るとびきりなこと考えてあげるから、それで区切りをしてついて来てよ」
 そう言い切った母の笑顔が少し怖かった^^
  


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