10歳から人生が変わった、その6

太田先生の場合
 太田先生はここに大学生と高校生の息子さんたちと暮らしている?
 ここには、男性から酷い目を受けて、逃げてくる女性たちばかりなので、身長の高い男性は怖がられるからという理由で、大学生のお兄たんたちは、できるだけ寮の利用者とは顔を合わせない様にしているらしい。先生も、DVの被害者で大阪あたりから逃げてきた人だと後から聞いた。。
 チャキチャキの大阪弁といつも強そうなスポーツウーマンの様な先生にそんな辛い過去があったとは知らなかった。
「みっちゃんのお母さんと私は似てるんよ、男に甘えられないタイプ、つい自分でなんでもするから可愛くないんよ、男を怒らせるんよ」とよく言っていた。
 夏祭りの時だけは寮のみんな総出で中庭で盆踊りやヨーヨーなどのお店も並び、大学生のお兄さんたちやボランティアの男性たちが参加して、入居者と交流していた。私は、その時初めて大学生のお兄さんと話をした。
 笑顔が爽やかで太鼓を踊りにあわせて叩いてくれてとても素敵。そう思っていたのは、私だけでなく、ママたちもみんな、お兄ちゃんの周りを囲んでいた。
 いつも泣いているそうすけがお兄ちゃんに肩車されてめちゃくちゃ笑ってる!
「楽しい」心からそう思った。「楽しいね」と私が言うと、太田先生は、「みっちゃん、この楽しい思い出をしっかり覚えておくんよ、こう言う思い出が心にあるかないかでその後の人生の大変な時の力になるからね」と言った。
 そのことを、後からお母さんに言うと、なんだか母の血が騒いだのが、のちに、こばと寮、始まって以来の大イベントを母がやってのけたのである。そのお話は最後に・・・
 

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