おじさんとわたし 4 (先輩の結婚式)
虎ノ門で結婚式があったので実家に帰った。
実家といってもおじさんの家だけど。
明日は休みだし、ゆっくりしよう。
久しぶりにおじさんのごはんが食べられる。
おじさんの作るごはんはかなり美味しい。
胃袋を掴めば離れられないというのはあながち間違っていないと感じる。
カメラマン辞めて深夜食堂みたいな飯屋やろうかな、とおじさんはよく言っている。
結婚式のごはんは美味しかったが、一皿の量が少なくゆっくり出てくるのであまり食べた気がしないのが不思議である。
新郎新婦は私の先輩だった。
どちらも面識があったが、新婦は私と色んな境遇が似ていて、結婚する前はよく居酒屋に飲みに行きベラベラくだらない話をしていた。
「母親に式に出たくないって言われたの」
ある日、ぽつりと先輩はそう言った。
私は何と言っていいかわからず、代わりに先輩の背中に手を添えた。
新郎の母にベールをかけられ
新郎の父が2人の子を抱き
新郎から愛おしそうに見つめられる先輩
完全に完璧で、そして幸福な
この時を先輩が迎えられて本当に良かった。
思わず私は泣きそうになってしまった。
(人前で泣くのは好きじゃないので頑張って涙を引っ込めた)
私がもし、この人と思える人と出会えたら
そして結ばれることができたなら
おじさんとあの赤い絨毯を歩くのかしら。
肘で小突き合ってちゃかしそうである。
でもいつか、見せてあげられたらいいな
いつになるかはわからないけど
それをおじさんに伝えると
「どっちでもいいよ」
といってひっそりと笑った。