おじさんとわたし9(レオンについて)
初めてレオンという映画を観たのは大学生の頃。
もっと早く観たかった…!!!
と正直思った。
なぜこんな名作を知らずに今までのうのうと生きてきたのかと反省した。
殺し屋のジャン・レノと
隣に住む運び屋の父を持つ少女ナタリー・ポートマン
この2人の関係は愛だと私は思う。
ロリコンとかペドフィリアとか、そういう意見もあるが、そういう性愛の愛ではない。
未収録映像を含めた完全版では確かにそう捉えられそうな描写もあったが、作者の意図はどうあれ、あえて違うと私は断言する。
(なのでリマスター版推しである)
赤の他人である成人男性と少女
孤独な2人の相寄る魂の話だ。
「血が繋がっていなくても俺たちは家族だ」
というようなハートフルな表現がないのも、甘えや媚びがなくてとても好感を持てた。
まだ観たことがない人はぜひ観て欲しい作品である。
この映画を観てしばらくした後
ふと、高校の終わり頃にあったクラスの男子とのやりとりを思い出した。
高校から上京し、おじさんの家に住んでいた私は、周りにおじさんとの関係性を詮索されることが嫌で「母の兄の家」と嘘をついていた。
特に理解されたいとも思っていなかった。
ある時クラスの男子のT君が
「お前おじさんと住んでるってマジ?」
と聞いてきた。
「そうだよ」と答えると
「おじさんと2人で暮らしてるの?」と聞かれたので
「祖父母もいたけど今は2人とも施設に入ったので2人で暮らしている」
と言ったら
「えぇ〜、マジ??身内とはいえ男の人と2人暮らしってやばくね??それって…」
とニヤニヤしながら言われた。
明らかに私とおじさんの間に男女の何某かがあるような、含みのある言い方と顔つきだった。
私とおじさんの関係を周りに理解されなくてもいいと思ってはいたものの、冗談とはいえ明らかに向けられた好奇の目に、若かった私は間髪いれずに無言でT君を平手打ちした。
「いった!なにすんだよ」
とT君が頬をおさえながら言った。
ぶってごめん、と言おうかと考えていると
そのやり取りを見ていたおっとせい(おっとせいというあだ名の男の子だった)が
「今のはTが悪いよ」
と言った。
おっとせいとはあんまり話したり遊んだりした記憶はなかったが、この時のことは20年近く経った今でも覚えている。
その後、特におっとせいと仲良くなることもなく、T君と気まずくなることもないまま高校を卒業した。
大学5年生になってから、恵比寿の改札でスーツを着たT君とすれ違ったことがあったが、向こうが先に気づき手を振ってきたので、軽く雑談をして別れた。
2人の関係性は2人にしかわからない。
家族でも恋人でも友達でもない
あるいはそれ以上の
レオンとマチルダさながら
おじさんとわたしは
今日も銃は撃たずにバカ話をして過ごしている。