心が晴れる
緊張したとき、どのように対処しているだろうか。
昔から、人前で何かをするときにとても緊張してしまう。学生時代の授業で先生から指名されたとき。サッカーでPKを蹴るとき。大学生の頃の温泉のアルバイトでサウナでロウリュをするとき。仕事で人前で喋るとき。
きっと、周りが僕に注目していると自意識過剰に考えてしまうことが原因なのだと思う。
大学生の頃の就職活動での面接も、緊張の連続だった。真剣な眼差しで僕の発言一つ一つを聞いてくれていそうな様子は、余計に緊張を誘った。
あるとき、緊張をどうにかしたいと思い、インターネットで検索してみると、「ショートコントに見立てると緊張しない!」との助言を見つけた。
それから、面接の直前、面接室の扉をノックする直前に深呼吸をして、「ショートコント 面接」と唱えてから臨むようにした。
ショートコントを重ねていくうちに、いつの間にか緊張にも慣れていた。
なにかを初めてする場面で緊張することはあるけど、大抵のことはショートコントで乗り切れるようになった。
先日、小学生の頃からの友人の結婚式があった。僕は、友人代表スピーチをさせてもらえることになった。
スピーチは初めてなので、どうやって、なにを喋ろうかとても迷った。インターネットやYouTubeで調べると、軒並み笑いを取っている。
そういえば、これまで参加した結婚式でも、友人代表スピーチでは面白いエピソードが織り交ぜられていたなあ。どうせやるなら笑い取りたいなあ。そう思い始めてから、絶えず緊張するようになった。
友人とは、20年くらいの仲なので、思い出はたくさんある。話したいこともたくさん。友人はこんな人なんだ!と知ってほしいこともたくさん。
インターネットで調べたときに、「スピーチは5分程度で、エピソードは2〜3つにまとめて!」という記事を見つけたことを思い出す。
5分でまとめてエピソードは2〜3つで、笑いを取る。むずかしいなあ、と悩んでいたら、とうとう前日になってしまった。
当日、式も様々なプログラムが設けられていて、どんどんと進んでいく。そして、いよいよ、司会の方から「それでは、これより、お二人の大切なご友人の方からお言葉を……」との前振りがあった。その後「では、まず、新郎側の友人代表の………」
それからのことはあまり覚えていない。
これまで参加した披露宴では、新婦側のスピーチが先であることが多かったから、油断していた。
喋りたかったことは喋ることができたけど、終始緊張して、笑顔が変な感じになっていた気がする。ショートコントと唱えることも忘れた。あれほどの緊張はいつ振りかわからなかった。
でも、終わったあと、とても気分が良かった。
僕は、その友人のことが本当に好きだから、思い出も、話したいことも、こんな人!って知ってほしいこともたくさんある。
それを全力で伝えたくて、本気で考えた。僕は、本気になると、緊張することを思い出した。本気でなにかに取り組むことはとても気分が良かった。
大人になって、緊張に対処することが前に出ていたなあと気付く。
緊張するくらい本気で取り組んで、その後、対処したいならすればいいと思うようになった。
数日後、友人の結婚式がある。僕はまたスピーチをさせてもらうことになっている。次も、思いっきり緊張しながら参加したい。
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