【ショートショート】顔自動販売機　#毎週ショートショートnote

近頃、顔認証で買い物やサービス利用等様々なことができるようになった。

自動販売機でもICカードをかざすように、顔をかざすだけで飲み物が購入することができる。


私は学校にある自動販売機で、缶ジュースを購入した。

「アユミ、あんた2階の女子トイレにいた？」
「えっ行ってないよ」
最近、こんなことを言われることが多い。
どうも、私にそっくりな子が存在するらしい。

さらに学校内の顔認証購入履歴を確認すると、何故か私が買っていないものが出てくるのだ。

私は桃の天然水なんて買わない。


「アユミ、あんたに瓜二つの人5組らしいよ」
「へぇ〜見に行こうかな」
「やめなよ、ドッペルゲンガーに会ったらどっちかが消えるんだよ」


自分に似ている人物がどんな人なのか、気にならないはずがない。
なんせ、口の下にあるホクロまで同じらしい。


5組の教室に入る。
桃の天然水を持ったその子が振り向くと、口の下にホクロがあった。


「あっ」


教室にカラン、とジュースの空き缶が落ちた。

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