可愛いおばあちゃん
完璧主義で利発な母がどんどんテンポが落ちて、可愛いおばあちゃんになった。
そんな母に会うとやっと優しい気持ちになれた。
別れは突然だった。
普通に夕飯を食べて、就寝。朝4時の巡回の時にはスヤスヤ眠っていたという。
なのに、次の見回りの時には手が冷たくなっていた。
急性心不全と病名がついた。
これを世間一般では苦しまないで安らかな最期を迎えた。というのだろう。
あっけないものだな。
あれから、眠るのが怖くなった。
ふうっと何かに吸い込まれそうになって、飛び起きる。
そんなことがもう何回も起こっている。
そしていつも「お母さん、お母さん、お母さん」と呪文のように呟く声で我に返る。
最後の面会となってしまった日。
仕事に遅れそうで、イライラして立ち去ったことを後悔している。
母はバイバイと明るく言った。