2020/11/22 欲と正直の話
思えば野望のないふりばかりしてきた人生だった。
人生を振り返るような歳でもないかもしれないが、私は幼少期から、クリエイティブな仕事を目指さないと固く心に誓っていた。
どう考えても事務職よりはよっぽど適性があるのだが、仕事にすることで大きな趣味が一つ減るような、もし仕事の上で嫌いになってしまったら、人生における彩りの大部分を失うような予感がしていて、避けたかったのだと思う。
その結果どうなったかというと、ぎりぎりクリエイティブではない職業として教職を志し、そんな動機だったものだから挫折し、事務職に就けばなんとか仕事にはなるものの、要求されることに対して賃金が低く感じたり(手抜きが出来ない性分)、業務以外の人間関係などで疲弊したりと、ただただ「向いてなさ」を思い知るためだけに20代を消費し、ずいぶん消耗してしまった。
まあいい感じに角が取れたと解釈するとして、今は結局「もう得意なこと活かすしかないじゃん」という気持ちになり、クリエイティブ極振りの仕事を目指して動いている。
発達障害の診断も、特性の凹凸について自覚するきっかけとして、「誰でもできる事でやっていく」ことを諦めるために必要だったと思う。
特別な才能とかは無くていいから、みんなができる事が普通にできる人間でありたかったな。でも自分が苦にならないことに案外需要があったり、意外とナンバーワンを目指さなくても地道にやっていけばよかったりと、思い切って手を放してみてもさほど恐ろしいことにはならないようだ。もっと荒野に放り出されて餓死とかすると思ってた。
結局のところ、自覚するより早く押し込めて、「そんな大それたことは望みません」と言い聞かせてきたことに向き合わなければ、ガラスの箱に閉じ込められた動物みたいに頭をぶつけ続ける羽目になるようだ。
というわけで、今私の中で「欲」「野望」が熱い。
欲と言えば、私は創作をするわりに自己顕示欲は薄いほうだ。いや、薄いと思っている。
でも先日、たくさん感想を貰っている人に対して、ふと羨ましいな、と思った。思った自分にびっくりした。
数字で表せる評価にあまり興味はないが、他人の内面に入り込み、文章を認めさせる作品って、やっぱりすごいんじゃないか。見た人の創作意欲を刺激しているというか。
いや、数字も全然うれしいな。
正直に行こう。また遠回りする羽目になるので。