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刑法各論 第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪

保護法益 被拐取者の自由、親権者等の監督権

(未成年者略取及び誘拐)
第二百二十四条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

「誘拐」とは、詐欺又は誘拐の手段によって他人を自己の支配下に置き、その居所を移させることをいう。(大判大12,12,3)

(営利目的等略取及び誘拐)
第二百二十五条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045

「略取」とは、暴行又は脅迫を手段として他人の意思に反し、その生活環境
から離脱させ自己又は第三者の事実的支配下に置く行為であって、「脅迫」とは、畏怖心を生じさせる目的で他人に害悪を告知する切の場合をいい、反抗を抑圧するに足る程強度であることを要しない。(広島高岡山支判昭30,6,16)
「営利」の目的は、財産上の利益を得ることを動機とするものをいう。(最決昭37,11,21)
支配内に置いた時に直ちに成立する。(大決大13,12,12)

(身の代金目的略取等)
第二百二十五条の二 近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。
(所在国外移送目的略取及び誘拐)
第二百二十六条 所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、二年以上の有期懲役に処する。
(人身売買)
第二百二十六条の二 人を買い受けた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2 未成年者を買い受けた者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
3 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
4 人を売り渡した者も、前項と同様とする。
5 所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、二年以上の有期懲役に処する。
(被略取者等所在国外移送)
第二百二十六条の三 略取され、誘拐され、又は売買された者を所在国外に移送した者は、二年以上の有期懲役に処する。
(被略取者引渡し等)
第二百二十七条 第二百二十四条、第二百二十五条又は前三条の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2 第二百二十五条の二第一項の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され又は誘拐された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
3 営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、又は蔵匿した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
4 第二百二十五条の二第一項の目的で、略取され又は誘拐された者を収受した者は、二年以上の有期懲役に処する。略取され又は誘拐された者を収受した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、同様とする。
(未遂罪)
第二百二十八条 第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十五条の二第一項、第二百二十六条から第二百二十六条の三まで並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。
(解放による刑の減軽)
第二百二十八条の二 第二百二十五条の二又は第二百二十七条第二項若しくは第四項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。
(身の代金目的略取等予備)
第二百二十八条の三 第二百二十五条の二第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
(親告罪)
第二百二十九条 第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

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