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「遅延妄想罪」(夢日記)

私は知らない館の中にいた。
朝9時くらいだった。
これは夢だと何となく思った。夜中に1回トイレで起きてまた寝たからだ。私は1度起きてから寝るとだいたい夢を見る。

小さい頃買いたくても買えなかった女児アニメのグッズが、100万もする代物かのごとく大事に大事にガラスの中にしまわれていた。

馬鹿らしいと思いながら、実際それくらい当時の自分にとっては価値あるものだったと思いながら館内を巡った。

どこからどこまでもそれであった。魔法少女の変身アイテムとか、妖精のぬいぐるみばかりだった。

変身するふりをした。必殺技を打つ練習をした。
だって誰もいないからいいじゃないか!

私は途中で寒くなって、鞄に入れていたパーカーに着替えた。

気付いたら夜の6時だった。
そろそろ夕飯時だ、帰らなくちゃとそう思ったその時、

「赤いトレーナーを着た○歳くらいの少女の○○さん、見つけたら即座に捕獲してください。」
名前は聞き取れなかった。誰かの名前ではあったはずが、自主規制音のように情報が一切こちらに入ってこない。

館内にそのアナウンスが響き渡った。何度も。
盗みをしたわけでもないのに。捕獲ってなんだよ。人間なら逮捕でいいだろう。
夢だとそう分かっていたが、にしても酷い夢だった。

近くにいた女性と目が合ったが、通報はされなかった。
彼女はざわついていた。今思うと、自分の方が年上だった気がする。
夢だからはっきり覚えてはいないけれど、彼女はおそらく許される歳だった。

なんで私はやけに急いで抜け道を探しているのだろうと思った。まだ走り出していないのに息が酷く苦しく、とても熱かった。やがて物凄い勢いで走り出した。50メートル走8秒台ぐらいの全力で走った。

吹き出る汗と裏腹に、私は難なく館から脱出した。
外で祖母が待っていた。夕飯はハンバーグだとか言った。

息を切らしながら道路を見て「なんだ、ちゃんとコンクリートじゃないか」そう思ったその時、自分が着ていたのは白いパーカーだったことに気づいた。

名前も分からないし着ている服も違ったのに、なぜそう焦ったのか。
最初に着ていたのが赤いトレーナーだったから?
自分の行動が然るべきものだと分かっていたから?

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