僕はこの恐怖症みたいなやつをときどき感じちゃうから

 タイトルは神聖かまってちゃんの「フロントメモリー」からです。大好きな曲。

 先日、大学の後輩と久々に飲みに行って、気持ちよく酔っ払って、帰り道派手に転んだ。後ろを歩いていたおじさんが「あなたね、だいぶ右側に寄ってたよ! 気をつけなきゃだめだよ、ホントに!」と言いながら、手をひっぱってからだを起こしてくれた。転んだとき、たまたま電話していた恋人が駆けつけてくれて、手当してもらった。身体的な痛みと恥ずかしさと不安感でわんわん泣いた。どんなふうに転んだかあまりよく覚えていないのだが、翌朝じぶんのからだをよく見てみると、あらゆるところが真っ赤あるいは真っ青になっていた。

 どうしてそんなになるまでお酒を飲むの、と言われたら、もうそんなの、怖いから、以外に言いようがない。もちろんお酒の味がおいしいというのもあるし、飲み会の解けた雰囲気も好きなのだが、なにより不安感を消すため、無敵になりたくて飲酒している。なにが怖いかっていうと、他人。世界。地震雷火事。キュートアグレッションという感情。孤独感。将来。死。言葉。じぶんのどうしようもなく脆くて尖った感受性。そういうものが怖い。強いて3つ挙げるとすれば、他人と地震と死。次点で将来とキュートアグレッション。酔うことができたら、数秒後に緊急地震速報が鳴って世界が滅亡するんだとかいう絶望感が薄らぐし、他人のとくに他意のない一言やため息に勝手に傷つかなくて済む。世界のことを、一歩引いて見られるようになる。アルコールという膜に覆われて、誰にも何にも脅かされないようになる。アル中って言うのやめてください!!予備軍って言うのもやめてください!!

 ここまで打って、今じぶんの脳はアルコールを欲しているのだなあと思った。酔っていたら、こんなにごちゃごちゃ考えないから。そっちのほうがしんどくないから。
 だけどじぶんの心が欲しているものはお酒じゃないんだろうな。他人が欲しい。じぶんの延長線上にいる他人。最近、なにをしていても実家を思い出して泣いてしまう。いろんなものが怖いしみんなわたしを置いてどこかへ行ってしまうんだという不安感に押しつぶされる。日々の楽しみを見つけるのがへただから、毎日つまらなくて寂しくて悲しい。
 逃避行みたいな日を過ごしたい。明日のことを気にせず飲んだり一日中カラオケにいたり、遠出したり食べ歩きしたり映画を観に行ったりしたい。
 家具や家電をより良いものに買い替えたい、という日々のための生活力がじぶんには少なくて、ときどきそういう思考を他人と比べてしまって嫌になる。生活をアップデートしようとしている人って、本当にすごい。まぶしい。

 寂しいです。人のいない空間が怖いです。毎日。アル中予備軍って言うのやめてください!

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