#128 スモールワールド
上記は大脳皮質細胞のようだ。
わたしたちの脳の中には無数の神経細胞が張り巡らされており、その効果によって様々なことを可能にしている。上記を見ればわかるように、つながりが濃い部分と薄いところがある。
わたしたちの頭の中の世界の画像と、わたしたちが暮らす自然(環境)の中にも同じようなネットワークをなすものが沢山ある。
例えば、世界の航空路線図。下記はアメリカ本土だが、人口密集地には緊密にそうでない場所にはわずかに路線LINEがみえる。作り出されたネットワークは先ほどの大脳皮質細胞のそれと似ている。
例えば、インターネット。
わたしたちは何かを探す際に、グーグルやヤフーなどの検索サイトを利用する。毎日莫大な数の人がアクセスしお目当ての商品や場所や知識にたどり着く。
そのため、有名検索サイトには人口密集地のハブ空港のようにアクセスが集中し緊密になる。それらを可視化すれば上記のようなネットワークに似た画像になるのは間違いないと思う。
そして、これはある人たちの相関図を可視化したものだ。
ある人たちとは、アメリカ中西部の高校性のことで、色の濃い点が男子、薄い点が女子になっている。
あるときこの高校で、性感染症(梅毒)が広まった。
そのため、さらなる感染を防ぐために、患者たちは聞き取り調査によって、病気をうつした(うつされた)可能性のあるセックスフレンドを申告するよう求められた。
その結果、できたのが上記の相関図です。
当然、一対一で異性と付き合っている高校生は性病に感染することはないので、この相関図は自分もしくは相手(あるいはその両方)が二股以上をかけていることになります。
この相関図をみると、生徒の中にはハブの役割を果たしているものがいることがわかります。
丁度、中央にリング状になっている男女のことです。このハブ(男女)を介して枝のように伸びている。
逆を言えば、末端の男女はハブを介さない場合、他のグループの男女と接点がないともいえる。
これは、学生時代のクラスを思い出すまたは想像すればわかることで、わたしたちは、クラスという集団のなかで一定の小隊や中隊を組む。一般的にそれを「友達」というのだが、価値観や感性が共有できない相手とは自然と一定の距離を保つようになる。
そして、小隊内で交流を深め絆を強くする。
これとは一線を画しどの小隊にも属さない個人や、稀にいくつもの小隊を掛け持ちする男女がいる。
これらが、ハブになる。
血気盛んな学生のグループであれば、自分のグループと自分以外のグループを差別化するので、他のグループと親交を持つことは許されないことが多い。
唯一、それが許されているのはグループのリーダーである。そのため、必然的にグループのリーダーはハブの役割を担う。
そのようにして、人と人は繋がるということだ。
必ずしもこれが全てではないが、わたしたちの大脳皮質で行われている行動も、男女を含む交友関係も同じシステムによって無意識に必然的に動かされているといえる。
上記は神経細胞のイメージ図。神経細胞は最初の画像のように無数のネットワークを構築しているが、神経線維と神経線維のあいだには隙間があり、その極端に狭くなった場所(シナプス)で情報をやりとりする。
そしてこのシナプスは情報のやりとりを繰り返すことで太くなる。
つまり情報が流れやすいということだ。
よく分かりそうで分からないときに「シナプスが繋がらなーーーい」などと冗談を言うが、まさに情報が伝達されることで私たちは理解できるのだ。
それはさておき、神経線維が個々人で、シナプスが会話またはコミュニケーションだとすると、人間の社会生活も、脳内における神経線維のシナプスによる情報の受け渡しも大して変わらないように思える。
つまり、わたしたちはフラクタル図形のように全体から切り取られた一部も覗いて見れば全体と同じで、やっていることの大小はあれど同じものなのかもしれません。
どんなに奇抜で画期的なことも、わたしたちの身体の中では既に起きたことであり、それらを無意識に拡張しているだけの作業なのかもしれません。
そう考えると、宇宙は広大でミクロよりも小さい。
わたしの考えるWbasic思考にもつながる不思議な話でした。
おわり
参考文献「不愉快なことには理由がある 橘玲著」
「進化しすぎた脳 池谷裕二著」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
俵屋年彦さん画像を使用させていただきました。