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生成AIはアーティストたり得るか?

サカナクションの山口一郎氏がANNのスペシャルウィークのMCを務めていました。
私が似てると稀に言われている山口氏です(あんま似てないと思うけど)。

(9/16現在、まだタイムフリーで聴ける)

「AI VS リスナー大喜利」というコーナーをやってました。
その中の山口氏の発言を割と面白いなあと思ったのですが、
「AIが作るクリエイティブ系のコンテンツはまだ"綺麗すぎる"」のだそう。
技術的には生成AIに歌詞を書かせたり、編曲をさせるのは可能なのですが、
完成物はどこか完璧すぎるらしく、そこはまだまだ「心を打つ」レベルにはならないらしいです。

これっていくらSpotifyのストリーミングが主流になっても、
蓄音機でレコードを聴く人が一定数いるのに通じるなあと妙に納得しました。
ハイレゾの綺麗な音じゃなくて、ちょっと雑音が混じったレコードの音源に
「味」を感じるのが、人間の感性だと思います。

少し前にマクドがAIを広告に使ってえらく炎上してましたが、これもまた同じ感覚かもしれませんね。

どこか「完璧すぎる」んですよね、多分。
普通に可愛い女の子だと思うんですが、目もクリッと、肌もツヤツヤ、で非の打ちようがないと、
どこか却って不自然な印象を抱かせるのかと思います。
という意味で、世界のトップモデルとかS級美女(これAVだけか)と言われる人々も
どこかに人間らしさを纏っている事が前提なのかもしれません。

「100点を取るためには不完全要素を含んでいる必要がある」というのは逆説的というか、
完全に近づくためには、完全の反対概念としての不完全さを要素として含んでいないといけない、という面白い禅問答だと捉えています。
最初のサカナクションの音楽の話に戻ると、AIが書くような
完全に調和の取れて整いまくったメロディーラインや歌詞では
どこか物足りなくて、AIのアルゴリズムからは出てこないようなちょっとした「ズレ」だったり「違和感」
逆に音楽においては、リスナーに「おっ」という驚きや発見をもたらすものかもしれません。

心理学的に人間が「驚く」瞬間って、自分が予想してたものと違ったものが現れた時だそうです。
(お化け屋敷を考えるとわかりやすい。暗闇から急に想像してないものが出てくるとびっくりする)
不完全な要素 = その「予想外」なのかもなぁと思いました。
一定のアルゴリズムに従って導かれる出力ではなく、時々そのアルゴリズムを逸脱する事が必要なのかと。
X JAPANがただ真面目に音楽を演奏していても面白くなくて、YOSHIKIが唐突にドラム壊す奇行に走るみたいな
不確定要素があるから「おっ!」ってなるんですね(これは、違うかも笑)。

不完全さすらも完全さを構成する要素に変えてしまえるくらいに、
何かに突き抜けている事が、人を惹きつける上では重要な要素かもしれないですね。
日常的に仕事で使ってるからよーくわかるのですが、AIの進化ってすごいです。文字通り日進月歩。
音楽も仕事もそうですが、平均85点くらいの成果物ならAIが安定して出せるようになってきました。

翻訳なんかもそうです。かなりの精度で多言語翻訳してくれます。
ただAIの翻訳ってまだ直線的な翻訳で、
感情を言葉に込めたり、著者の意図を行間に含ませるっていうのは、まだ難しいかな。
言っちゃえば「面白くない」翻訳だと思います。

よくある「AIに仕事を取られる」論争の解決の糸口はこのあたりにあるかもしれません。
「人間らしさ = 完璧に何かをこなす事」ではなくて、
自分の色をどれだけつけられるか、だと思いました。
逆に言えば世に溢れる仕事のための仕事はほぼほぼ駆逐されますね。間違いなく。

ちなみにラジオの「AI vs ハガキ職人」の大喜利対決はまぁまぁ面白かったです。ぜひ聞いてみてください。笑


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