【TABF】第12回東京アートブックフェア
【期間】2022年10/27~30日
【会場】東京都現代美術館
すきな装丁家の川名潤さんのSNS投稿から知ったこのイベント。
国内外からのアートまわりの出版社やギャラリー、印刷屋、アーティストが出展する。誰かが『アート版のコミケ』と称していてなるほど!と納得。
わたしは普段インスタグラムで海外の方を中心に気になったアーティストをフォローし刺激を受けることが多いので、海外のアーティストの作品を見られるTABFは絶好の機会だった。
全体の印象
とてもたくさんのブースがあり、一つひとつじっくりと見てまわる…ということは叶わなかったけれど、わたしの印象では国内外問わずシルクスクリーンで作品を制作されている方が多かったなぁ、と思った。
あと、幾何学や色を楽しまれている作品や作品形態でいうと大判のやわらかい素材の紙を観光地の案内地図のように折りたたんでいる作品…など。
フランス
毎回ひとつの地域に焦点を当てて出版文化を紹介する企画があるそうで、今回はフランスがフィーチャーされていた。
フランスがすきな私にはまたも絶好の機会。
わたしのフランスの芸術のイメージはモネやルノアール、セザンヌ…などいわゆる絵画のイメージだった。
けれど今回出会ったフランス人アーティストの作品はグラフィカルだったり、とてもシンプルで受け取り方が難しかったりした。わたしは勝手に、色鮮やかで(どこからのイメージなのかは分からないけど)細い線で繊細なものをどこか期待していたみたいだ。
でもその予想と反していたことがまた楽しく、これが(ほんの一部なのだろうけど)【今】なんだなぁ、と受け取った。
日本と違うなと感じたのは、たとえば人物を描くイラストレーションでは社会情勢に批判意識を持って描かれた社会派…?といっていいのかわからないが、意識が外に向かっている印象を受けた。
そして同時に夏に練馬区美術館でみた【生誕100年 朝倉 摂展】を思い出した。
フランス人作家の本に出会えた。
オーストラリアに店舗がある【perimeter】という書店で気になるフランスの書籍を手に入れることができた。
鳥が表紙になっているとても立派なつくりの本はJochen Gerner【https://www.instagram.com/jochengerner/】というアーティストでこどもが学校で使用するノート(練習帳的な)にサインペンで均一にラインを引き、絵を表現していた。
今イベントで最初に出会った心惹かれるイラストレーションだった。
お店番をされていた女性(日本人の方)の説明によると、色に関心がある方でサインペンの色の重なりで表現できる幅を試行されているそうだ。
なるほど、ページをめくると0.5ミリ幅の様々な色の線が重なり合って模様を作っていたり、鳥の絵のそばに使用したペンの単色がメモのように残されていた。
まるでカラーチャートを眺めているようで、ページをめくるだけで鮮やかさに楽しくなる。
お店番のお姉さんが「次はこの犬版が出るみたいですよ」と教えてくれたのでインスタグラムで調べてみるともうすでにたくさんのカラフルなわんこが投稿欄を埋めていた。ちなみにタイトルの『Oiseaux』を調べてみると【鳥】だった。簡潔〜!
そして写真右の骸骨イラストが描かれたなんとも怪しい本。
ペーパーバックの仕様なので小説だろうか…とこれも訊ねてみると、人間の皮でつくった書物の話……‼‼‼と教えてくれた。何そのポーが書いていそうな怪奇小説!と楽しくなってしまい、購入した。
学生の頃フランス語を少し専攻しており、折に触れてフランス語を学びなおしたい波がやってくる。今がその時で、読み通す自信は皆無だけれど、単語の勉強になるかな、と買ってしまった。
かくしてわたしは海外の気になる本を手に入れることできた。
ちょっと誇らしい気持ち。
Jochen Gernerさんの鳥のイラスト集は、たからもの…というと少し大げさだけれど、憧れのような思い出のような一冊になるような気がした。
シュールな韓国のアーティスト
国内外のアーティストのZINEを販売するブースもあり、気になるアーティストと出会った。
Bird Pit(https://www.instagram.com/bird_pit/)という名前で活動されている韓国人アーティスト。
下の写真は薄い紙にイラストが印刷されたものだが、人物の目が最高にシュール。何かを訴えていそうな、ちょっと糾弾されているような気持ちになってしまう、、
りんごにも同じように顔が描かれているし、的になっているし、まったくカオスな状態で不気味さも感じるけれど、そこが忘れられず一通り回ったあとにやっぱり何か手元に…!と思い直して、再来した。
ほかのお客さんがお会計のあとに「カムサハムニダ」と言っていたことで韓国人の方だとわかり、わたしもイラストを受け取ったあと「カムサハムニダ」できた。やた、
英語はさっっっぱりで苦手意識さえあるので、海外の方のみのブースで何か英語で説明されたらどうしよう、わかってますよな雰囲気で相づち打つことになってしまう、、とはじめはおっかなびっくり回っていたけど、
作品を見せて頂く前に軽く会釈と見せていただいたお礼の「Thank you」でひとまず乗り切れた。
購入しなくてもどのブースの方も笑顔で応対してくださりほこほこ。
そしてまっさきに購入した川名潤さんの、文学雑誌に載っていたコラムなどをまとめた冊子。
少しずつ味わう予定。
4日間のイベントで今回はコロナ渦ということもあり(たしか)チケットが必須だった。そして4日間すべてのチケットが完売していたそうで、このイベントの人気さが伺えた。
舞台観劇で鍛えられた、チケットはある時にその場で買えという教え(母の)に従い事前に買っておいてよかった、なぁ、【詠嘆】