痔瘻という､世界一厄介な痔

「痔瘻オペseason1」

今日は、手術当日。　朝6時起床、9時、手術台の上へ。
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怖かった、、。
人生を振り返ると、今まで､ガッチリした、手術室に入った事が無かった。
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テレビでよく見る感じの、手術室。
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下半身麻酔なので、手術台の上へは、僕が自ら上がる。　
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死刑台に自ら上がる、海賊王の様だ。
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お医者さん、手術器具、手術室、をセットで見た途端、心臓がギュっとなった。
『ホンマにするんですか？』と、言いそうになった。
この、三点セットの破壊力は、並ではない。
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何故か、バンジージャンプを飛ぶ前と､同じ感覚になり、混乱した。
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断われる訳もなく、自ら台に乗る。
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大蛇に腕を噛まれる怖さ、に比べれば、まだ我慢出来た。　
ジャッジ洋一という番組の、ロケおかげだ。
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嚙まれといて、良かった。　いや、ええわけない。
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そして、直ぐに麻酔。　
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腰の背骨と背骨の間に､麻酔を打つ。　　怖過ぎる。　　
刺すところ、見てないけど、怖すぎる。
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他にも、刺されたら嫌な所。
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わき、、絶対にいや！　
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目、、絶対にいや！
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その後、、
出産の時とは、反対向きの､うつ伏せで、足を開き、ちんこ丸出し。
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俺は一体、何回人前で、チンコ丸出しになるんや！
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この時点で、ここにいる､7人ぐらいの人達全員に、モンスターエンジンの西森、とバレている。
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最悪だ。
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皆んな、俺のちんこに対して、何の感想もなし。
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『あれ？　今日は、付いて無かったかな？』
と、思わせる程、僕のちんこを無視。
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『よく、剝けてますね』ぐらい言うてくれても良かった。
『ええ、まぁ、遺伝ですわ』ぐらい、返した。
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しかし、怖すぎて、恥ずかしい感覚も薄れる。
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よく考えると、どこも、海賊王じゃなかった。
死刑だとしたら、『なに､この殺し方？』と、なる。
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僕の症状は、痔瘻の中でも厄介な、1000人に1人の複雑痔瘻だ。
オペは、かなりの時間を要する。
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18分､かかった。
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はやっ。
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それでも、長かった方らしい。
さすが、関西に２人しかいない名医だ。
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ベットのまま、病室へ移動。
　看護師さん、三人がかりで押して貰った。
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「その為にベット細かったんや」と、どうでもいい事に納得。
全く歩けない、怖さときたら。
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仰向けのまま、6時間安静。　術後すぐは、下半身の感覚ゼロ。 　怖すぎる。
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もしこの時に、足を高く上げてしまうと、麻酔が横隔膜まで､上がってしまい、呼吸出来なくなって､死んでしまう､らしい。
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名医のおじいちゃんが、そう言っていた。
『推理物のドラマで、こういう殺人事件も出来るね！』と、笑顔で､言ってはった。

「確かに！」とは思ったけど、、
自分が当事者なので、全く笑えず、、能面みたいな､相槌だけ打っておいた。

六時間、経った。　　今、15時45分。
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看護師さんに、点滴を外してもらう。
最後、点滴の注射針を止めている、テープを剝す時が､一番痛かった。
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腰辺りの背骨に麻酔した時より、手術より何より、最後､テープを剝すのが、一番痛かった。
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点滴の注射ばりを、刺される瞬間より、それ止めてたテープ剝す方が、倍近く痛かった。
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看護師さんの、専門的技術が必要な、最後の作業。　
それが、テープ剝して、注射ばりを、抜く作業。
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スマートホンサイズの、透明な、よく貼りつくテープを、ゆ〜〜っくり、ゆ〜〜っっくり、メリ、メリメリメリ、メリ、メリ、って剥がされた。
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まさか、これが一番痛いとは、、。
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手術が無事､終わって、嬉しかったので、顔はひきつったけど、、快く我慢出来た。
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そして夕方、また家族揃って､見舞いに来てくれた。
ムスメ……直ぐに僕のベットへ飛び乗り、寝てた。
ガッチリ、布団を被って寝たふり。
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「小学生､中学生ごっこ」という、毎日家でやっている、謎のごっこ遊びを病室でも、敢行。
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直ぐに、帰って貰った。　やっぱりうるさ過ぎる。
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僕は、慣れているし、自分の子供だから、許せる。
しかし、同室の、他人の子供が、ギャーギャー言うほど、迷惑なものは無い。
しかも、よく分からん、｢小学生中学生ごっこ｣
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だから、直ぐに、帰って貰った。
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24時間､絶食のち、午後6時、病院で夜ご飯。
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お腹が空き過ぎていた。
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この近辺の､美味しい御飯屋さんなんて、どうでも良くなるぐらい、病院食が美味かった。
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完全なる一人で、孤独のグルメ、をした。
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21時ぐらいから、けつ痛くなって来た。
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三人部屋の、三人とも痔瘻で、三人とも今日､手術。
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僕の向かい側の人は、男性で、少し柄が悪い感じの、推定40歳。
長身の茶髪。ずっと、看護師さんにも高圧的。
吉井和也を、柄悪くした感じ。
柄悪イエモン。　ワルモン。
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消灯前に、看護師さんとワルモンの､やり取りが聞こえて来る。
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『おしりの方は、どうですか』
｢痛いわ〜｣
『ちよっと、幹部見せて下さいね〜』
｢おう｣
『ちよっと、オシリ触りますよ〜』
｢切ったとこ、触ったらアカンでっ！｣
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めっちゃデカイ声で、言うてた。
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｢切った所、触らんといてや！｣
『切った所は触りませんよ、尿とりパッドずらすだけです』
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どんな人でも痔瘻は､とてつもなく痛いのだ。
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僕だけじゃ無かった。
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けつ痛いまま、寝た。
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、
おやすみなさい。