アメリカナイズ 肉
2019年8月の日記。
休みだった。
ムスメは、夏休みも小学校で預かって貰える「いきいき授業」とかいうやつ。
プールにも入れてもらえ、しかも無料、、いたれりつくせり。
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日本、ありがとう。
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なのでお昼、、ヨメと、息子と、三人で外食。 近所の、ステーキ屋さんへ、入った。
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下調べ無しの、初めてのお店。
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なにせ、アメリカに憧れている人が作った、日本人が考えるアメリカっぽい、1980年代のアメリカになりたい店だった。
壁に、アメリカの国道の標識なんかが、貼られている。
実際のアメリカでは、そんな物は貼っていないだろう、と、思いながらも店を物色。
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顔の小さな、4分の1アメリカの血が入っている様な、クォーター美人のお姉さんに、、
ヨメと僕は、それぞれステーキの定食を注文。
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ヨメは「イチボステーキ」僕は「ハラミステーキ」
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ヨメは、生焼けの肉が食べれない、なので美人のお姉さんに、よく焼いてもらうよう伝える。
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僕は、ライオンぐらい、生肉が好きなので、レアで頼んだ。
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ヨメの定食は、息子と分け合って食べる様だ。
あとは、海老のアヒージョと、息子のカルピスを注文。
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四歳、息子のカルピスが、初めにやって来た。
ガラスのコップだ。
何故かコップの底が、殆ど「起き上りこぼし」状態で、、まん丸。
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初代の新幹線の先、みたいになっている。
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少しでも横から、チョンと当ろうものなら、ゴロ〜ンと、倒れるコップだった。
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カルピスを入れたのは、さっきの美人だ。
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考えろや! 分かるやろ、四歳や! 考えろや!
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出来ない美人だった。 ここからは急遽、悪い日記に変更だ。
悪い日記とは、とことんボロくそに書くやつです。
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ほんで、初めて見たわ! そんな機能性0のコップ! 今すぐ捨てろ!
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間髪入れず、コップを替えてもらった。
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「あ、そうですか? 可愛いのに」みたいな顔してた。
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そして、ステーキがやって来た。
僕の肉が、焼きに焼かれて、カッチカチ。
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やってくれたな! しばき回したろか!
ほんで案の定、ヨメの肉、ライオン仕様!
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やってくれたな! 10人がそれぞれ、個別の焼き方を注文したんちゃうんやぞ!
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焼く方と、焼かない方だけを、間違うなよ!
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顔面の点数を上げる為に、IQを神様に売ったんか?
悪魔の契約したんやろ?! 分かってるからな!
俺は騙されへんぞ!
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元は!めっちゃブサイクやったんやろ! 騙されへんからな!
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しかし、ヨメに制され、、僕、、黙って我慢して食べる。
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ほんで無茶苦茶、まずいやないか! どういうつもりやねん! これは、いつの肉や!
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臭すぎるやろ!
牛とディープキスしてるんかと思ったわ!
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味は二の次の店だっだ。
アメリカ具合で、やばいだろうとは思っていたが、これほどとは。
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まず、どれだけアメリカに近づけるか、が第一。
雰囲気と「いや〜、これ可愛い〜」を重視する、が第二。
顔面の点数だけで面接をする、が第三。
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その次の第四が、味。
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全部、食べ終わった。 が、アヒージョが来ていない事に気付く。
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美人に確認を取る。
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「え?、あ、はぁ、、」と、だけ言って、、厨房のある一階へと降りていった。
僕らの席は二階だ。 そして、客は今、僕らだけ。
ピンと来た。
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あのまま厨房行って、忘れてたアヒージョを一から作り、出来あがり次第、持ってくるだろうと、予想。
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「全部食べ終わっているので、もう通っていないなら、アヒージョは無しで、お願いします」、、
という、選択肢を消されるに違い無いと予想。
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そして、美人は僕らの二階から、20分間もの間、消えた。
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20分後、、IQを売り飛ばした美人は、、
なんの確認もなく、普通に出来上がった、アヒージョを持って来た。
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この店には、二度と来ない。
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この段階で、そのアヒージョをキャンセルしてやろうか! そう思ったが、、
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目の前でヨメが 「うわ〜、美味しそう!」
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あっち側だった。 僕とは、別次元で生きている。
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僕は西森次元へ、戻って来て貰おうと必死になる。
『ほらやっぱり、なんも言わんと、いきなり持ってきたやろ!』
類稀な洞察力と、観察力での予想的中をヨメに自慢する。
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「美味しい〜」言うてる。
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忘れてた、、違う次元で生きてる人やった。
次元が違うから、僕の声が聞こえないのだ。
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「すいませ〜ん、パンお代わり〜」
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気に入ってるやん。 もう、美味しい店として、インプットしてるやん。
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「パンのお代わりを後、二枚!、、いや三枚、、あ、やっぱり四枚で〜!」
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めっちゃ気に入ってるやん。
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「ここのアヒージョ美味しいわぁ〜、これあったらら、他なんも要らんわ〜」
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また、来ようとしてるやん!
俺は、二度と行かない。
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おやすみなさい。