「入院10、11日目」
「入院10日目」
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題「やっぱり、八宝菜やったんや……」
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おはよう御座います、やっと点滴がとれました。
はい、拍手〜!
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自由だ。 やろうと思えば、百人組手も出来る。 やろうと思えばだ。
ガリガリだが、物理的には出来る。
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だって、点滴ありで、百人組手してたら、変やもん。
途中絶対……あの点滴の鉄柱、振り回して戦うやん。
変やん。 強いのか弱いのか、どっち?て、なるし。
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自由だ……しかしまだ、木っ端微塵メニューは終わらない。
一度失った、西森の消化能力への信用は、すぐには戻らない。
何を食べているのか、肩口から顔を出して、半透明の、、岸麻子、、に解説して欲しい。
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♦︎お昼になりました……
フリースペースでご飯を食べています。
4人掛けのテーブルが八卓あるが、僕のテーブルには……今、僕だけ。
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木っ端微塵で、ドロドロの野菜を食べています。 美味しいです。
そして、分かりやすい味だ……食べたことあるぞ。
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程なくして今……斜向かいに、おじいちゃんが座って来ました。
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おじいちゃんのオカズを見た。
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みじん切りにする前の八宝菜。
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「やっぱり……八宝菜やったんや……」 と、心で呟く。
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哀しい台詞だ。
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小さな双子の男の子の一人が、クリスマスプレゼントの箱開ける。
箱の中は、粉々に壊された、プラスチックの小さな破片の数々。
「ママ〜、なにこれ? 壊れてる」
『あら? なにこれ、誰がやったんやろ』
「ロボット? これロボットやったの?」
『多分、パパは知ってるんやけど……』
「なんでこんなんなったの?……」
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そこへもう一人の双子が現れ、ロボットを手に持ち遊んでいる。
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それ見て、、
「やっぱり、……ガンダムやったんや……」 呟く。
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大袈裟にいうと、こんな気持ちになりました。
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おやすみなさい。
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😀思い出して、少し腹が立つ。
マネージャーからのメールで放たれた「タバコは大丈夫ですか?」
忘れていたのに、その台詞で、思い出して苦しむ羽目に。思い出して、腹が立つ。
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😀赤血球が大きい、、あまりないタイプです。
と 言われた。 なんか恥ずかしい。
「入院11日目」
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おはよう御座います。 点滴もなければ、抗生剤も無しの、プレーン西森です。
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点滴をやめた途端、水分量が減り、みるみる痩せていっている西森です。
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身体はガリガリだけど……ガム噛みすぎて、アゴだけムキムキの西森です。
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アゴと腕の関係性が、ティラノサウルスみたいになった西森です。
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後輩が持って来てくれた小説、二冊ともがハズレで、少し苛ついている西森です。
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もう「ほぼ全快」と言っていい身体の西森です。
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こうなると、退屈で仕方がない。
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抑揚なく時間は過ぎ、夕方になりました。
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いい忘れていましたが、まだ木っ端微塵です。
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夕方……ソロバンに行ったムスメ以外の、ヨメと息子が、見舞いに来てくれました。
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常時滞在しているフリースペースで、出迎えました。
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病状をヨメに報告する僕を尻目に、息子は走り回っています。
唯一ある自動販売機のボタンを、乱れ押し、しています。
乱れ押しに飽きて、戻って来ました。
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そして4歳息子は、席に着くなり一言。
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「ママ〜、今日は何で、ここに来たん?」
『パパの顔、見に来たんやないの!!』
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一蹴されていました。
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しかし、息子からすれば
「この元気な、プレーン西森洋一を見て、なんになるのだ?」
といった感じでしょう。
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「見舞い」を理解させるのは、まだ難しそうだ。
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明日……退院する予定です。
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おやすみなさい。
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