投球練習する漫才師
何年か前の、夜中の淀川河川敷。
色々な運動に飽きた僕は、野球の硬球を購入した。
そして、淀川を渡す橋の支柱をに目掛け、投球練習をすることにした。
40歳手前、、、普段は芸人、、、が、、、夜中、、、一人で、、、暗い橋の下で、、、黙々と、、、何の本番も待っていないのに、、、投球練習、、、に励んだ。
なにせ、打ちっぱなしや、普段参加しているフットサルなど以外の、運動が良かったのだ。
同じスポーツばかりでは、偏った筋肉が、ついてしまうではないか!
と、偏った筋肉が、ついてしまっても構わない漫才師だが、思った。
思い立った次の日に、早速夜中、河川敷へ。
既に誰かが、思いついていたらしく、、
コンクリート製の一辺が10メートル程ある、橋の支柱には、、
ストライクゾーンがペンキで描かれていた。
おまけに、マウンドまで用意されている。
お誂え向き。〘おあつらえむき〙
これ以外で、使って欲しくない程、お誂え向き。
テンションが、上がる。
自転車を停め、早速投げる。 正確な距離を測って、こしらえられたマウンド。
マウンドの木の板に、右足を引っ掛けて、ピッチング。
踏ん張りが効いて、投げやすい、、などを思う。
よくよく人生を振り返ってみると、生まれて初めてだった。
マウンドからの投球は、人生初。
夜中の1時頃、、真っ暗な河川敷の橋の下で、生まれて初めてを体験。 ちょっと、興奮。
マウンドから、思いっきり投球し、、
跳ね返ってゴロになった玉を、バント処理かのようにグローブでキャッチして、、、
一塁手と見立てた、同じ壁の別のポイントに送球、、
跳ね返ってきた玉をまた取って、送球。
と、実践的な練習もした。 のちに本番は待っていない。
ハアハア、なった。 いい運動だ。
カーブの練習もした。 のちに本番は待っていない。
中々、かからないものだ。 などを思う。 ホークボールも、練習。
夢中になって、気がつくと一時間以上経っていた。
黙々と投げていた。 すると、はるか遠方に、自転車に乗った人を発見。
河川敷なので、視力が及ばない所まで、真っ直ぐ道は続いている。
上田が台車を押していた道の様に。
ギリギリ見えていた人が、徐々に大きくなってゆく。 おじさんっぽい。
認めたくは無いが、どう見積もっても、こちらに向かっている。
怖い。 夜中の河川敷。 他には誰もいない。
怖い。 来ないで。 来てる。
どう考えても、僕に一直線で向かって来ている。
バットも用意すれば良かった。 怖い。
僕まで10メートル、、、。 完全なる、おじさんだ。
自転車を、キコキコいわせながら、通り過ぎていった。
助かった。 しかし、おじさん、、行き先が少しおかしい。
橋の下を通り、川の方に向かっている。
おじさん、、僕の背中側にある支柱で、同じことをやり出した。
夜中に投球練習する、おじさんが2人になった。
異様な空間。 無言で、背中合わせで投球練習。
キャッチボールをすれば良いだけの話し。
が、、夜中の二時、、、見知らぬおじさん、、、シーンとした河川敷、、、言い出す勇気、、、0。
それぞれで、投球練習。
異様な空間。 非常に気まずかった。
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