Blackstar FLY3のDCアダプタについての疑問


忙しい人のための3行まとめ

  • ギターアンプBlackstar FLY3のDC電源仕様は6.5Vである

  • しかし、単三電池6本の電圧もDC電源の電圧もかかる箇所は同じである

  • ということはDC電源が単三電池6本分=9Vでも問題ない、はず

Blackstar FLY3の電源アダプタがいやらしい

いろいろあって3~5W程度の軽い小型アンプが欲しくなったためBlackstar社のFLY3というアンプを購入した

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/199584/

このアンプは単三電池6本で駆動できるのだが、電池駆動アンプの多くがそうであるように電源アダプタは別売りになっている。別売りなのは別にいいが、この電源アダプタの仕様がなかなかいやらしく、出力がよそではあまりお目にかかれない6.5Vという仕様になっている。
一般的に音楽機材関連でよくあるDC電圧は3の倍数の9V、12V、18V、24Vなことが多い。(下のリンクのページにもそう書いてある)

https://www.soundhouse.co.jp/contents/staff-blog/index?post=2453

メーカーに失礼なのは重々承知の上で正直に書かせてもらうと、DC電源の仕様を6.5Vにしてるのは他社の機材の流用を防いで自社製品を売りたいためなんじゃないかと疑っている(オプション商品の専用拡張キャビネットもあまり見ない端子使ってるし)。

9Vでも動作する回路

そもそもこのアンプは本当に9Vの電源が使えないのだろうか。普通に考えると仕様として6.5Vと決めてあるのだから40%近く高い電圧をかけると壊れそうに思われるが、上でも書いたようにこのアンプは単三電池6本で動かせる。
1.5V*6=9V。新品の電池は1.5Vより若干電圧が高いから、実際のところ10Vぐらいでも問題なく動くように設計されているはずだ。ますます怪しくなる。

もしかしたら、DC電源と乾電池で電源系統が分けられてて、それぞれ別のレギュレーターにつながってるのではないか。そうであれば乾電池の9VどDC電源の6.5Vで分けられていることも説明がつく。早速確認してみることにした。確認作業でいろいろと試行錯誤を重ねたが、そこは割愛して結果だけ述べる。

  • 乾電池ソケットとDCジャックの+端子同士はつながっている

  • 乾電池ソケットとDCジャックの-端子同士はつながっていない

  • DCプラグを刺していないとき、アンプ回路のGNDと乾電池ソケットの-がつながる

  • DCプラグを刺しているとき、アンプ回路のGNDとDCジャックの-がつながる

DCプラグを刺してるときと刺してないときで回路GNDの接続先が変わるのは、電源供給の手段が2種類以上ある機器は電源同士のショートを防ぐために何らかの方法で常に1種類の電源しか回路につながらないようにしているからだ。
結果からわかるように、このアンプは乾電池とDCでレギュレーターを変えるということはせず、DC端子も乾電池も回路の同じ端子に繋げている。
ということは、乾電池で9V動作させる前提で設計をしているのだから、DCで9Vを入れても問題ないということだ。

一応言い訳を考えてみる

この期に及んで、まだなにかしら理由があるんじゃないかと考えてみる。
一般的に、電圧レギュレーターは対応電圧範囲が広くても効率がいい「美味しいところ」は狭い、ということもある。効率が悪い=発熱が多いということになるし、発熱が多ければ部品の寿命を短くする。だから電圧を自由に設定できるDC電源では一番おいしいところの6.5Vを使うように設計している、という可能性だ。
書いておいてなんだが、あり得ない話だ。供給できるエネルギーに限度がある乾電池駆動の時の方こそ効率のいい「おいしいところ」を使うべきだし、9Vの点が効率がいいならDC電源でもそこを使わない理由がない。

結論

私はオーディオアンプ回路についてはあまり知識がないし、もしかしたらメーカーとしては本当にいいものを作るつもりで、私の知りえない何らかの理由があってDC電源の仕様を6.5Vにしたのかもしれない。
でもそれを確かめることはできない。仮に自社製品を売りつけるために6.5Vにしていたとしても正直にそう答えは教えてくれるはずはないし、本当に合理的な理由があってそれを説明されても、疑いを持ってる私が素直に信じるのは難しいからだ。

メーカーの意図がどうであれ、回路の確認の結果から「DC端子から9V電圧をかけても問題ないつくりになっている」ことは明らかである。
だからFLY3の電源をコンセントから取りたいからっといて純正の6.5Vアダプタを買う必要はない。手持ちの9V電源を流用すればいい。プラグの極性だけはくれぐれも間違えないように。

余談

Googleで電池駆動ギターアンプをいくつか調べて、出力パワー、電池の種類、DCアダプタの電圧を確認した。

  • BOSS KATANA-MINI: 7W / 単三6本 / 9V電源

  • Fender Mini ’65 Twin Amp: 1W / 9V電池 / 9V電源

  • Marshall MS-2: 2W / 9V電池 / 9V電源

  • DANELECTRO HONEYTONE: 1W / 9V電池 / 9V電源

  • Laney MINI-SUPERG: 3W / 単三6本 / 12V電源

  • CRUSH MINI: 3W / 9V電池 / 9V電源

  • VOX MINI3 G2: 3W / 単三6本 / 12V電源

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