かえりみる、ほんのすこし (その2)

休日。胡桃をちまちま貪り喰いながらデュワーズで口中を湿らせ、ひたすら冬眠しているつもりで炬燵に潜り込む。駄目人間振りにも程がある。

「現実の出来事の前では、やはり音楽は何の役にも立たない。但し、その現実が立ち現れる前の、人々の想像力へ与える音楽の影響力は間違いなく絶大である。
現実を気にして自らの spirits を薄めるべきではないよね。straight, no chaser !!」

……こうしてまたひとりの立派な酔いどれおやじが誕生していく……。

そんなおやじになって、この上掲の音楽がようやく胸に沁み入るようになってきた。この音楽の作者:浅野達彦さんのアルバムに関しては、前作の "Genny Haniver" の方を愛聴しており、こちらの方は所有すらしていないのだが。

以前、渋谷HMVで拙作の "In the Blanket" を販売して頂いた時 (自慢か)、同じ試聴機にセットされていたのがこの作品CDだった。その時聴いた感想は「前作に比べて地味だな~カラフルじゃないな~つまんないな~」という、お子ちゃまが口にするような浅薄なモノだった。

『その時がくれば分かるさ』

今は「自らのファンタジーをより現実世界で再現出来るようにアレンジされたんだろうな」という推測のもと、この音楽をエンジョイしているが、それだけではない奥深さも充分感じている。

「身寄りのない土地で、夜の野外に独りでいるとき、この音楽が聴こえて欲しい。
この音楽があることで、僕は、本当に救われています」

……こうしてまたひとりの立派なホームレスが誕生していく……。

いいなと思ったら応援しよう!