音楽のレシピ(その8) —記憶ー
「あなたは何曲、今までの人生の中で聞いてきましたか?」なんて問いかけられたら、音楽が好きな人ほど絶句して思考停止に陥るだろう。今まで食べてきた料理の献立を全ては思い出せないのと同様に。
もしかしたらもうそこまでのデータベースを作ることの出来る態勢は整っているのかも知れないけど、人間様の頭脳はそれを処理できるのかな。少なくともオレは無理。
今ふと思ったんだけど、認知症って「人の頭が情報を処理しきれずフリーズ&システムダウンしてしまう」症状なのか、なんて。
だったら、今からでも自覚的に情報の取捨選択をしていったほうがいいかもね。余計なことは考えずに忘れろ、ってこと。で、さっき「今そこにある〇〇を愛せ」って言葉をつぶやいたんだけど。
楽器に触れていて、楽しくなければ意味がない。愛せなかったら意味がない。現代社会的には愛が結構不足しているみたいだけど、ホントはそんなことないよね。しつこいけど「今そこにある〇〇を愛せ」!
そして「特殊に徹すると普遍になる」って言葉も聞いた。いま目の前にあるモノを見据え続けていくと、やがて世界が見えてくるだろう。
そう思いながら、身の周りにあるモノの音を奏で、聴いている。鍵盤楽器などでも、ドレミとか五線譜のことは考えずに、見えない音そのものを見透かすかのように。(続)