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マンチェスター・バイ・ザ・シー 感想 かろうじてエンタメ

マンチェスター・バイ・ザ・シー見ました。

ちょっと私には理解できなかったけど、流石アカデミー賞受賞作ですね。と思ったから書かせてね。

この作品、元・パリピ男がヤク&酒やって、酔っぱらっているときに暖炉のスクリーンをおろさず外出し、家が全焼し、子供を亡くし、妻はかろうじて生き残るんだけどもちろん離婚し、それから立ち直れなくなった現在めちゃくちゃ陰気な男が、唯一の兄の息子パトリックの後見人になる話です。

兄はめちゃくちゃ人格者ですが、心臓を患っていて、離婚しており、17歳(だったかな?)の息子は天涯孤独になってしまうわけですね。

この息子がまだ小さい時、つまり、主人公がパリピだった時は交友があったようなのですが、陰気男になってからは、まぁ、無口・人との関わり断絶だったようなので、多分そんなにかかわりはなかったんではないかな。

多分兄は、自分が死んだ後、一人になる息子を支えられるのは、同様に大切な娘たちを無くした弟だけだろうと考え、託すんでしょうけどね。

ただ、過去のトラウマを忘れられない主人公は、友人に、マンチェスターに残りたいという(めちゃくちゃ陽キャで友達多いから)パトリックを養子に出し、自分はボストンのくら~い一人暮らしに戻ります。ただ、ボストンに遊びに来れば~的なことを言っているから、少しは寄り添えるようになったように見えたけどね。

つまり、トラウマを克服し、パトリックと欠けたもの(失った家族)を補い合い、幸せに暮らしましたというエンタメ要素にはあまりステ振りされず、ちょっとばかり心を開けるかもねくらいの少しの譲歩を余韻として残す、リアリティに極振り、っつー感じかな。

ただね、こういうリアリティ強めにステ振りしている映画ってつまらなくなりがちなんですよ。

演出なのか脚本なのか。

さっすがアカデミー賞受賞作。

しょっぱなから過去⇔現在と場面が切り替わりながら進んでいく後世になっているのですが、前半は過去あんなにDQNだった主人公がなぜこんな暗くなってんの?つーか娘は?と疑問に思う、少しミステリ調になっていて、飽きさせず、中盤になってあー家族死んだからかと謎が解けるわけね。

この謎があるから、ただの主人公の回想みたいな映画をね、エンタメとして成り立たせている感じがあるな~。すげぇよな。あんまり会話劇とかめぐるめく画面構成とかなく、情緒的にゆっくりとスクリーンに綺麗なマンチェスターの景色が(まるでフランス映画のように)流れていくような映画なんですけどね。飽きないのよ~。

私が分からないなーと思ったのは、主人公がトラウマを乗り越えて的なスッキリさがないから、何が言いたいのか良く分からないって感じなんだけど、むしろこの曖昧さがこの映画の売りだね。だから、まぁ、好みじゃないかな。

この映画を見た時の私の感想は「なるほどねーけど良く分かんないな」って感じ。好きな人はめっちゃ好きだし、ダメな人はつまんないだろうな。

このさ、かろうじてエンタメの綱渡り感が芸術なんで、映画評論家とかの評価はめっちゃよさそ~。

私はこの間見た「グリーンブック」くらいエンタメ:芸術の割合がフィフティーフィフティーが好きでね、これをいかにきれいに50にするかが映画の手腕だと思っている所があるんだが。好みとしてね。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」はね、いかに芸術側に多く振って、どこまでがエンタメで成り立つかの割合を攻めてんだよね。47:53くらいじゃないかなと思うんだけど。エンタメ40切っちゃうとただのつまんない三流映画と考えているから。これがヒヤヒヤして、多分映画好きの心を揺さぶるんだろうなー。オチまで「意味わかんない」一歩手前のギリのラインだからさ~。何となく雰囲気なるほどと思わせるギリのライン。

だからすげーなーと思ったよね。

つまり、好みじゃないけど面白い映画っつーかんじ。二回は見ないけど一回見といてもいいなって映画。

普段アクションとか見てる人は絶対見ない方がいいと思う。見れないと思う(笑)

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