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BANANA FISH 感想 10巻 ユーシスとアッシュと英二についての考察
最近、メレンゲを使用するとパンケーキがふわふわになることを知って、感動しました。すぐに調子に乗った私は、ホットケーキミックスに砂糖を足すのに抵抗があり、砂糖なしのメレンゲを入れたらうまく膨らまなかったです。料理のアレンジって難しいですね。
さてもう半分の10巻目。感想に行きます。
10巻のストーリー
アッシュ死亡のニュース→英二、ユーシスを人質にして屋敷を逃げ出す→ゴルツィネ帰国、アッシュを煽る→病院はBANANA FISHの実験場(ショーターの脳が利用されていた)→アッシュBANANA FISHを打たれそうになり病院逃亡を決意→マックス、アッシュを助けるため伊部と病院に潜入→英二、シンに保護される→アッシュ、ドースンを連れて逃亡中…。
毎度、いいところで終わりますね~。これ、連載中追ってた人、叫んだだろうな~。
ユーシスとアッシュは、写真のネガとポジ
英二とユーシスの会話でのセリフ。
「僕と彼は――写真のネガとポジだ もともとは被害者タイプの子供だったって事… 生き延びるためには強くなるしかなかった」(BANANA FISH 10巻より)
印象的なユーシスですが、私は意味が分からず、例のごとくググりました。
簡単に撮影できる分、表現力は(ネガフィルムは)ポジフィルムに劣りますね。しかし、失敗が許されない場面ではネガフィルムは大活躍します!結婚式、運動会など一瞬を納めなければいけない場面で露出調整がシビアでないネガフィルムでの撮影がオススメですね。
(ポジフィルムは)ネガと比べて上級者向けのフィルムだと言えます。
その分ポジフィルムを思い通りに操ることができれば表現は無限大です。そのためプロカメラマンや広告・出版などの現場で用いられる事の多いフィルムです。(引用元)
扱いが容易だけども、表現力が劣るネガフィルム=ユーシス
扱いがむつかしいけども、表現力が∞であるポジフィルム=アッシュ
と表現したわけですね。そして色彩がそのままフィルムに出るポジに対し、反転するネガ。表と裏。すごい比喩だなと思いました。
ユーシスとアッシュと英二についての考察
自分をアッシュに重ねるユーシスは続けます。
「何が違う?フェアじゃないね ――まったくフェアじゃない なぜお前なんだ!」「お前なんかに――わからない お前なんかにわかるもんか!!」(BANANA FISH 10巻より)
ユーシスの弱さが見えるこのセリフ。
僕のほうがアッシュのことが分かるのに、なぜアッシュは英二に肩入れするのか?まるで好きな人を自分の中で偶像崇拝しているストーカーのよう……(まさしくその通りなんですが)
この英二の言い返すセリフが答えです。
私としては英二にここでユーシスを撃ってほしかったですよ。この後のブランカの展開を考えるとね。でもね、ここでユーシスを撃ったら、アッシュは英二を失うんですよ。
ユーシスがアッシュを偶像崇拝して、完璧なもののようにあがめるのと同じように、アッシュも英二をあがめていて、アッシュのあがめる英二は、ユーシスを撃ち殺さないんだよ。
英二がその自覚があるか分からない。無自覚なのかもしれない。でも英二がアッシュに求められるのは、このシーンでユーシスを撃たないからないんですね。
確かにユーシスが言うようにアッシュなら撃っている。そのことをユーシスはフェアではないという。つまり、アッシュは英二に色々捧げているけど、英二はアッシュに何も捧げていないという。
ユーシスは、例えばリンゴをあげたらリンゴを返すべきだと主張しているわけです。しかし、人間はかけているところを補い合うために、一人で生きていけないようになっているのではないですか?リンゴを私達は栽培せず、仕事で働いたお金でスーパーで買うように、アッシュに対する英二の奉仕とは、ユーシスを撃つことではない。
ユーシスの主張は一見正しく見えます。物事の一面でしかない。正しさなんてね、角度を変えたらすぐに答えを変えるんですよ。英二とアッシュにしか見えない角度で、二人の関係は成り立っている。ユーシスのいる遠くからでは、それは見えない。
今まで生きていくうえで誰にも頼らなかったユーシスにとって、誰かに頼るアッシュというのは、惨めに見えただろう。まるで自分の神を踏み絵にされた様に思ったでしょう。自分の今までの生き方を否定されるのって、許しがたいよね。ユーシスの気持ちもわからなくはない。
でも、あなたがもし、今まで生きてきたように一人で強く生きていくのならば、アッシュに構うべきではなかった。李一族のトップに立つ、それだけでよかった。小さい頃の被害者だった過去から、アッシュに肩入れしすぎた。自分の人生の上を歩きながら、アッシュの人生に口を出すべきじゃなかったと私は思います。
でもユーシスは孤独の中で、自分と同じ境遇のアッシュを見ることで、孤独を紛らわせていたのかもしれないですね。
誰しも「私ひとりじゃない。ほかの人だってやってる」だとか「他の人だって同じ境遇だ」と思うことで救われるから。
私の推しのシン・スウ・リン
激おこぷんぷん丸(テンション爆下がり)のユーシスに冷たくあしらわれても、逆切れしないシンってめちゃくちゃ大人じゃない?
それに英二(とアッシュ)を放っておけないって優しすぎるだろ……BANANA FISHの良心……。
さぁて、号泣不回避の11巻に続きます。