モブサイコ100 感想 主題を描き切った秀作
もう10月なのに今年は温かくていいね~(冬<<<<夏)
どうも、647です。
最近暇で暇で暇で。
Amazon Primeでアニメを見ようと思いつつも、そんなにいいのがなく
(最近アマプラ、アニメ少なくなったよね!見たいタイトルが全部レンタルになっていて……dアニメストア契約しようかな~)
アマプラのウォッチリストに数年前に登録し、そのままになっていたモブサイコ100というアニメを見ました。さぁ……判定は!?
正直予想をいい方向に裏切られ、面白すぎて一気に3期すべて見ました。
ギャグアクションだと侮るなかれ。
主題を描き切った秀作です。最高すぎて最終話は泣いた。
モブサイコはギャグマンガ(時々アクション)くらいに思っていたのですが、割とちゃんとメッセージ性のあるヒューマンストーリーでした。
もしまだ見てなくて、思考停止ギャグアクションはなぁ……と敬遠されている人がいれば、頑張って1期9話まで見てほしいです。(そこから3期最終話まで面白いから!!!)
いや、最悪は、5話まででいい!師匠の言葉まで見て!
何故かと言いますと、このモブサイコという作品の面白さは1期9話以降に発揮されるからです。(5話はそのフラグ的な感じ)
ちなみにギャグは滑っていないので、ギャグマンガ好きな人は1話から楽しめると思います!!
1期の8話までは主人公とその周囲の人物紹介+ギャグ+時々アクションというような感じ。
物語の本質に迫る爪編が9話から始まります。
じゃあ本質、つまり主題とは?なんですがこれが私好みの素晴らしいテーマなので説明するね☆
・本当は世渡り上手なだけの凡人であり、特別な存在になれない自分のことが嫌いな嘘つき師匠(霊幻)
・超能力によって他者を傷つけないために感情を抑え込んでしまい周囲から浮いているモブ(主人公)
そんな正反対の、つまり自分に持たないものを持つお互いが、お互いの存在によって成長するというテーマなのです……。
霊幻は本心ではモブにあこがれており『霊とか相談所』のアルバイトとして雇うのですが、モブは霊幻のデマカセの教えに救われた。
口八丁で世渡り上手に見える営業マンの霊幻ですが、それはあくまで外面で、本当は特別な存在になりたいという子供じみた夢をどこか捨てられない。しかし、あくまで彼は普通の人であるために、そんなガキみたいな幻想をずっと抱いて大人になっている自分が『ダサくて痛い』自覚がある。
だから周囲から浮かないように、嘘つきで胡散臭く振舞っている。しかし、モブに言っていることは倫理的に正しい。そう、根はいい奴なんです。
逆にモブは超能力が暴走し、他人を傷つけてしまわないように感情をいつも抑え込み、そしてそれでいて『空気が読めない』。本心をはっきり言ってしまうから、中学校で周囲になじめない。完全な陰キャです。
でも周囲から浮いてしまっても、自分の本心をさらけ出せるって正直強いですよね。超能力はもちろん『特別』であり、霊幻が一番初めにモブにあこがれた『きっかけ』ではあるものの、多分霊幻が本当に尊敬しているのはそんなモブの性格の方でしょう。
そしてそんなモブを懐柔するために霊幻は自分は霊能力者であるとウソをつき、それらしいことを言います。しかしその『それらしいこと』は大きすぎる超能力を持っているモブに突き刺さるわけです。モブが求めているのは霊幻とは真逆の『普通』であるということです。
意識的か、それとも無意識にか、そこに理解を示すことを霊幻は言うのです。求めている言葉を相手に与える能力=空気を読む能力。
霊幻は超能力はないですが、ずば抜けてこれに抜きんでています。まさに2人は正反対なキャラクターとなっているわけです。
霊幻の言葉をまず聞いてほしい。
つまり霊幻は超能力者を特別扱いや変人扱いしなかったためモブになつかれたわけです。口から出まかせで一番にこれが出てくるんだから最初から最後まで悪運の強い男ですよ。
この後、爪編(9話~)でも、まぁ次から次へモブを救う言葉を連発します。適当にそれっぽいことを言っているだけです。ただ、霊幻の言葉がモブに響くのは、それっぽい当てずっぽうなのだけど、モブを救う確信をついた言葉である、そしてそれは霊幻の本心に近い言葉であるからだと思います。
霊幻は普通なので、自分が痛い正義感であることを表に出すのはまずい(周囲から浮いてしまう)とわかっているわけです。だけど、本心をさらけ出すモブに対しては、1期1話からずっと、正直な言葉を投げていると私は思います。
霊幻は自分が霊能者であるということ以外のウソを、最後までモブには言わなかったんじゃないかなって思っています。
そしてモブは自分の憧れなんだと痛い本心を認める冷静さもある(2期以降)
モブサイコ100の魅力は、霊幻とモブの関係性、それぞれのキャラクターが卓越して素晴らしいことです。
キャラクターが良すぎる。
そして私はやはりアニメ・漫画で一番重要なのは、キャラクターだと確信しました。
最近「地極楽」というアニメ+漫画も読んだのでそちらも後日感想を書きたいのですが、この作品もキャラクター描写が非常にうまい作品だと思いました。
もちろんお話が面白いのは前提ですが、キャラクターに魅力がないともっと見たいにならないんですよ。
キャラクターを知りたい、キャラクターの成長を見届けたいという感情こそが、視聴意欲なんだと思います。
モブは女子にモテていると勘違いして調子に乗ったり、霊幻は実は同年代の友達がいなくて独りぼっちの寂しいアラサーだったり、で共感性羞恥……くらい痛いんですが、この痛さこそが、キャラクターの弱さの描写であり、人間味、つまりリアルなんですよね……。
他にも魅力的なキャラはいっぱい出てくるので是非見てほしいし、ギャグもかなり笑えます。ギャグセン高め。
そしてなにより本作品の評価すべき点は、3期最終話の〆かたが素晴らしかったこと。
漫画も完結しており、アニメは原作に忠実に描かれているのだと思いますが……。
痛くてダサい自分をさらけ出したにもかかわらず、霊幻にの周囲には仲間ができ、感情を抑えていたモブが満面の笑みを浮かべる。
お互いの存在によって、自分の弱さを克服したラスト……。
こんなきれいなラストがありますか!?感動して泣いたわ……。
1期は爪、2期は爪のラスボス、3期はモブ自身、と、各山場がありますが、すべての主題は一貫している。
モブが超能力を持っているというハンデを克服するまでのストーリーなのです。
モブは超能力に頼らないんですよね。むしろ彼にとってそれはハンデなのです。与えられたものに頼るのではだめで、自分の努力でつかみ取った経験でのみ、成長できるのだと気づいている。……この辺も本当に素晴らしいテーマです。
流し見でもいいから見てほしい。絶対に引き込まれるので(私がそうだった)
もっと評価されるべきアニメです。
原作漫画は読んでいませんが、アニメはおしゃれっぽい演出だし、戦闘シーンの作画もよいので、全然見れます。というかアニメ化すべき、映像で映える作品だと思う。