BANANA FISH 感想 4巻 時代背景についての考察
今日クリーニングで歯医者行ったら歯科助手が壮絶下手でつらかった。。。でも口の中の水吸うのはこまめでそれだけはよかった。たまにうまい人でも口の中の水吸ってくれない人いるよね。慣れてる人ほど、早く終わらせたいんだろうな。
というわけで4巻感想。
アッシュの過去と時代背景についての語り
まぁ壮絶な幼少時代をおくっていますよね。母親が男と逃げて、少年野球の監督にレイプされたのに泣き寝入りして、父親の銃で撃って殺す。と。
地元の名主だから逆らえなかったというのが、父親も悔しいところだろうな。泣き寝入りするしかなかったっていうところに時代を感じますよね。今の時代だと即炎上確定案件だもん。地位(権力)と金がすべて。って考えてみればアッシュほどひどくないにしろ、今でもそれは変わらないか。
私は20歳で地元を離れ上京してからもう長いこと関東に住んでいますが、肩書きって大事だなーってつくづく思います。それは都会だからなのか大人になったから(つまり、社会っていうのはそういうシステムってだけ)なのか分からないけど。大企業に勤めているとか、有名大学を出ているだとか、そういうことがその人のすべてになるんですね。個性や人となりは関係なくて、会社だと部長やら課長やらの役職がすべて。偉い人が右を向けと言えば、間違っていると知っていても右を向くのが社会。あーつらいね。アッシュが美青年で、見かけではチンピラのボスだとは思われないように、結局みんな肩書や外見しか見てないんだよ。そう気づいたアッシュが身に着けた処世術が「猫かぶり」「色仕掛け」なのはなんか悲しいけどさ……。でも実際武器なのは間違いない。
話が少しずれたけど、きっとアメリカの田舎では普通にありえたことなんだろうな~。今でもありえそうっちゃありえそうだけど、今はSNSとかあるし、「泣き寝入り」しないで済む方法いくらでもありそうだよね。時代は本当に変わったな。BANANA FISHを読んでこの辺の時代背景がスゥと入ってくる年齢ってもう結構大人だけなのかなぁ。今の情報化社会って縦社会って概念がなくなっているから、それはそれで私はいいことばっかじゃないと思うけどね。アッシュの場合は、縦社会の最も悪いにあたってしまっていて、それを解消する手段が昔はなかった。泣き寝入りが普通だった。今はそれはおかしいと正義を振りかざすチャンスはあるけど、正義ほど立場によって変わるものはなくて、絶対的ではなく相対的な定義なんだよね。だから、味方によって正義は悪にもなりうるのに、昔みたいな「権力」や「金」と言った分かりやすい指標が指標とされなくなった今、私たちは何を物差しに判断すればいいんだろうね?こんな曖昧な世界では正義の犠牲になる人も出てきそうだね。例えば濡れ衣だとか。SNSでは嘘のツイートがばずったりとかしてるよね。アッシュのような犠牲者は減っても、また新しい時代なりの犠牲者が生まれる。世の中上手く平均化されてるっていうわけだ。何とも皮肉。
アマデウス症候群
英ちゃんについて伊部さんが語るのを聞いたマックスが発したこの「アマデウス症候群」。私は意味が分からなくてググりました。
イギリスの戯曲家・シェーファーの戯曲「アマデウス」になぞった造語。マデウスはモーツァルトのミドルネーム。宮廷作曲家のサリエリがモーツァルトの才能に惹かれると共に嫉妬し、彼の音楽を崇拝しながらも彼の破滅を望みモーツァルトを追い込み最終的に死に追いやる。(yahoo知恵袋より)
なるほど伊部さんは20巻収録の番外編「fly boy in the sky」で描かれているように英ちゃんLOVERSだからね。惚れこんでいるからねえ。
つーかBANANA FISHは結構映画やら戯曲やら本やらの引用が多いし、株やら政治やらが本編に絡んでくるしで、作者は東大出身か?ってくらいの博識だよね。何回も言うけど少女漫画の域じゃねえんだわ。少女漫画読む層はサリンジャーとかヘミングウェイは読まないんだわぁああああ。わかるうブランカ居ますううう??そんでこの話(サリンジャー)しだすと攻殻機動隊SACまで語りたくなるから今はやめとくね。そういやヨルシカの新曲のタイトル「老人と海」(ヘミングウェイの著書のタイトルと同じ)だったね。タイムリーだわぁ。
脱線おおいけど、まあ、好きになるって感情は一番厄介なもんで、伊部さんはあこがれる英二くんをアメリカに連れてきて独り占めしようとしたって事かな。愛は怖いね。もしかしたら怒りよりも。だってさ、怒りは持続させる努力が必要だけど、愛は何もしなくても永遠でしょ?相手が死んだって憑りつかれて落ちないんだから。私がもう死んでしまったアッシュを永遠に忘れられなくてこんなに長い駄文をつらつら書いてるようにね。冒頭書いた歯科助手の下手なクリーニングのことなんて、さっき食べたアイスで忘れたのにさ。
アッシュの涙
4巻でもアッシュは涙を流します。あんなに仲が悪かった父親が自分を守って血を流しながら「さっさと行け」と逃がしてくれた。自分のせいで(ゴルツィネの差し金により)父親の恋人ジェニファは死んで、父親は怪我をしているのに。愛されているって気づかないわけないですよね。「こんちくしょーーっ!!」と叫びながら泣いているアッシュ見ると本当に腹立つなタコハゲ……。
マイケルとジェシカとマックス一家
ロスについてマックスの家に行きます。この家でのやり取りが私はとーーーっても好きです。下品な話をするジェシカとマックスに対するマイケルの皮肉や、アッシュとジェシカのやりとり。アッシュとジェシカってどちらも口が立つから見ていて面白い!!マックスは完全にアッシュに言い負かされてしまいますからねー。口達者でアッシュに応戦できるのはジェシカくらいじゃない?
4巻後半でマックスが言っていますが「アッシュとジェシカはそっくり」ですよね。気が強くて皮肉屋で口達者で、でも頭がよくて気が利くところ。(マックスは前半しか言っていませんが)
そしてマックスに言うアッシュのこのセリフ。
「子供ってのは親を選んで生まれてくるわけじぇねぇってこと わかってんのかよ ハズレだからとりかえてくださいってわけにゃいかねーんだぜ!」(BANANA FISH 4巻より)
はー。こんなことアッシュに言われたらぐうの音も出ませんね。おっしゃる通りでさぁ。
英二に日本に帰れというアッシュ
BANANA FISHが思ったよりヤバい案件だと気付いたアッシュは、英二を帰国させたい伊部さんの意を汲んで、憎まれ役を買って出ます。
英二は帰りたくないから「帰れ」と言うと嫌われてしまう。じゃあ英二が言ってほしい「アッシュたちについていこう」という言葉を言う事が優しさでしょうか?突き放して帰国を促すことが英二にとって一番安全です。伊部さんもそれは分かっているけど嫌われたくないから及び腰になっている。アッシュのやさしさっていうのは、本物だなと思いますね。つまり、嫌われること(自分にとっての損害)をしてまで、英二に貢献しているわけだから。人はさぁ、自分に不利益のない優しさなんていくらでもふりまけるわけ。でもそんな優しさ振りまいたところで私はまったく偉くないと思うね。アッシュはそうじゃない本物のやさしさを持ってる。ねえ、幼少期からつらい思いをした少年が、なんでこんなにできた男なんだ。惚れない奴いねぇわこんなん。
好きすぎるので写真撮りました。
「オレはなんの代償もなく他人に助けてもらったのは あれが初めてだ……必ず見返りを要求した たとえばセックスとか」
アッシュは当たり前のやさしさを今まで受け取ったことがなかったんだね。本当に英二に出会えてよかった。たとえ地獄のような思いをしたとしても、アッシュが最後幸せで笑えたのは、紛れもない本物のやさしさを愛を受けたからでしょう。もし、普通に生まれて健康に育っていても、本当の愛をもらえる人っていうのは限られているから、神は平等ですよね。辛い思いをした分、アッシュは幸せでもあったわけだから。そう思いたいな。
「おまえはオレのできないことができる だからおあいこさ」
ああ、気づいたのか。さすが秀才ですね。英二に銃を持たせるのではなく帰国させようとするのは、アッシュはもう、強いこと、一人で生き抜くことだけが人の価値ではないと気付いたわけだ。英二が人生経験の浅い何も考えていない純粋バカで、価値のない人間ではないって。早いわ。3巻では銃渡してたじゃん。私何回も読みなおして気づいたんだよ。天才かよ。知ってたけどさぁ。
キッツいこと言って、悪役演じたら、ちゃんと伊部さんにフォローを頼むスパダリっぷり。最早言葉もないわ。正直この目でアッシュを一目見れたら死んでもいいぜ私は。
キッツいこと平然とした顔で言う役者のくせに、やっぱりやりきれないアッシュの良さがとても出ているシーンですよね!!こういうギャップに読者はもはやアッシュにガチ恋だから。
ユーシス登場
ちょおまて~。4巻ですでにユーシスが登場か。先ほどの2人のやり取りを物陰から眺めているわけだけどちょい待ち~。BANANA FISHの感想なんて言いながら、アッシュの考察に尽きるんだわと思ってたけど、よくよく考えたらユーシス様がいらっしゃったわ。ユーシスとアッシュの考察、ユーシスとシンの考察、さらにシンとアッシュの考察もしなきゃいけないの!?忙しすぎんだろこれ~何万字書けばいいんだ。つーか人間関係がうますぎるんだって、吉田先生、手抜いていいのよ……。
ちなみに私はアッシュの次にシン・スウ・リン(※4巻では未登場)が好きです。一番嫌いなのはね、ユーシスです。なぜかって?一番厄介な敵だったから。こいつほんま好かんわ。なんなら、チャンスがあったのに殺さなかった英二にすら頭来てるから。
ちなみにブランカはまだ許せる(最後アッシュに付いたからね)
私はどんな物事よりもアッシュが一番ですので、すべてが終わった後、
ブランカ「お前ならあの人(ユーシス)をどうする」アッシュ「むろん八ツざきにするさ」(BANANA FISH 18巻より)
と言ったアッシュとまさにシンクロしています。どれだけユーシスが不幸な生い立ちだろうがな。大好きなシン・スウ・リンが許そうがな。絶対にテメェだけは好きにならんぜ。アッシュとユーシスは似ていますが性格が正反対なんですよね。前向きと後ろ向き。私基本、後ろ向きな人、だいっっっきらいなので。
4巻まとめ
アッシュ実家から逃亡(ジェニファ死亡)→ロスに到着。住所探るためマックスの家へ→ドースン博士の家へ(1話の住所の伏線回収)→ユーシス登場→BANANA FISH≒麻薬の謎解き→ショーター裏切りフラグ→ジェシカにゴルツィネの追手
だからぁ~~~なんでこんなに展開が早いんだよ~~~詰め込みすぎなんだってば~~~。そしてショーターの寿命を感じずにはいられない4巻でした……。(未来予知)