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【エッセイ】阿久悠の言葉は死なない

 最近になって阿久悠の本を何冊か読み返している。亡くなって20年近く経つが、ぼくはいまだに行き詰まりを感じるとこの偉大な作詞家の言葉の数々に触れたくなる。この性向は阿久悠が健在だった頃から変わっていない。

 阿久悠はインターネットについてはいささか無理解と誤認があったようだ。ある著書で、誰もが同じ情報を得られるという点において、インターネットからの情報には、情報としての価値は存在しないと述べている。この批判にはうなずける部分もある。しかし、この批判は阿久悠自身が情報収集に活用していたという新聞、ラジオ、テレビについても当てはまる。

 どうやら、かの偉人も時代の変化に追いつけていなかったと見えるが、それは仕方ない。それを差し引いても、阿久悠の偉大さに変わりはない。

 阿久悠という百人力のバイブルがあるかぎり、表現することにおいては何も怖れることはないと思えてくる。



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