デートにもピッタリ!都内で5,000円以下で楽しめるコスパ&雰囲気◎なお店20選♪
歩く食べログと呼ばれている。
食べたいものとエリアと予算と用途を教えてくれたら、ピッタリなお店を即座にいくつか提案できる自信がある。特に、飲んで食って5,000円以下くらいのコスパの良いお店が得意だ。それもカウンターがあって薄暗かったりもする。デートにピッタリだ。
東京に来て12年になる。
慶應生である間は、慶應生であるだけでモテた。僕には可能性があった。起業して社長になるかもしれない。大企業で生涯にわたって安定を得るかもしれない。外資系で若いうちから何千万も稼ぐかもしれない。メガベンチャーで総会の壇上に上がるかもしれない。
でも、そうはならなかった。就活が無慈悲にも始まった。「テニサーの新歓担当で例年の1.2倍の新入生を獲得した話」。鼻セレブ1枚分ほどの重みもないそんなガクチカでは、せいぜい業界何位かも分からないシステムコンサルに入って年収400万を貰うことしかできなかった。その程度の学生生活しか送っていなかった。
誇るものがなくなった。当然モテなくなった。合コンにも呼ばれなくなった。それで、嘘をついた。
Tinderにデカデカと卒業大学を載せた。それでそれなりに釣れた。
毎週金曜と土曜と日曜はTinderアポに使った。他にやることがなかった。遊んでくれる人もいなかった。Tinderをやっている時だけはその現実から目をそらすことができた。アポが途切れないよう有料会員になって無限に右スワイプした。誰でもよかった。
薄っぺらい会話ばかり得意になった。安く酔わせる方法ばかり詳しくなった。ネオ大衆酒場でキンミヤの小さいボトルを頼むのが一番コスパがよかった。エモ、というきれいなラベルで貧乏を隠した。タクシーは深夜料金になる前に乗りたかった。
毎回同じ店に行っていると店員に「またか」という顔でバカにされる気がしたから、なるべく毎回違うお店に行った。渋谷とか恵比寿とかが多かった。新橋は近いから助かった。メインは牛にされると高いから「ここ豚がおいしいんだよね」と誘導した。
お店ばかり詳しくなった。グルメアカウントみたいなのをフォローして穴が空くほど読んだ。食べログのブックマークは300くらいまで増えた。実際にかなりの数のお店に行った。毎回二人で一万円くらい払った。スッキリして飲みやすい白ワインをボトルでお願いします。できれば3,000円以下のやつで。
仕事もうまくいかなかった。転職しようにも先がなかった。相変わらず友達も趣味もなかった。芝浦の地の果てで窒息しそうだった。
東京と自分とのつながりは、お店くらいなものだった。インフルエンサーの真似をしてグルメアカウントみたいなのをツイッターで始めたらそこそこ伸びた。有料noteも多少は売れた。
高い寿司を食っている連中を見ると胸がゾワゾワした。「コスパ最高!」そんなことを書くのが恥ずかしいときもあった。でも僕にはこれしかなかった。その程度の人生にしたのは自分のせいだった。タコ蔵をブロック。
僕が歩く食べログです。なんでも聞いてください。コスパのいい店教えますよ。今年で30歳になります。
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