真鶴日記#13 ~まちの匂いと大盛り~
5月17日。またもや雨。夜の真鶴は本当に静けさに満ち溢れているから、雨が降った日はより一層しんみりとした空気が漂っている。
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まちにはそれぞれ独特の匂いがあると思う。夕方、図書館を出ると、少しじめっとした雨上がりの町に、「夕飯の支度」を告げる仄かなが香りが立ち込めていた。そんな時はいつだって、子どもの頃友だちと公園で遊んだ後の帰り道を思い出す。所縁のないまちに、穏やかさや心地よさを感じる瞬間は、いつも過去の記憶と結びついているように思う。
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近所の珈琲屋(本を借りているところとはまた別)で、夜ごはんのカレーを食べた。「ちょっと多めがいい?大盛りにする?」と聞かれたので、迷わず「大盛りがいいです!」と答える。当初想定していた値段に大盛り料金が上乗せされるのかなと思っていたけれど、普通盛りと変わらなかった。その曖昧さと大胆さが、大好きだなと思った。
おわり