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「小学校 〜それは小さな社会〜」

山﨑エマ監督のドキュメンタリー映画「小学校 〜それは小さな社会〜」をシネ・リーブル神戸で見た。今回のアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『Instruments of a Beating Hearts』はこの作品を元に短く編集したものだ。

先週の「敵」に引き続きシネ・リーブル神戸へ

まずYoutubeで山﨑監督のインタビューをたまたま見て、その制作意図や監督の日本の小学校に対する考えに興味を惹かれた。「小学校が『日本人』を作る」というコンセプトが実に面白いし、そう言われればと納得もする。

他者に対する配慮、規範意識、協調性、努力、責任感といったものが日本の学校で行われている様々な日常の活動を通じて育まれていく様子を描く。だから映像は主に特別活動が中心だ。清掃、給食の配膳、委員会活動、学級会、運動会、修学旅行、入学式や卒業式。映像は東京の世田谷の小学校のコロナの最中の一年を追う。

主に取り上げられるのは1年生と6年生のあるクラスの生徒たち。先生方の熱心に指導に取り組む様子も取り上げられる。また時には子供達の家庭での様子もあるのも良い。長期間の撮影のおかげか、子供達の素直な喜怒哀楽の表情がよく撮れている。

様々な困難を乗り越えて子どもたちが成長する様子がとてもよく分かる。ただ、監督は「『日本人』を作る小学校」を手放しで礼賛するわけではなく、その教育は「諸刃の剣」でもあると認識して、判断を観客に委ねている。

とはいえ、中高はインターナショナルスクール、大学はアメリカというバックグラウンドを持つ監督が、海外で評価される自分の日本人としての根っこが自分の通った日本の公立小学校にあると感じて制作したドキュメンタリー映画である。見ていて、「日本の小学校は良いなぁ」と思えるのも仕方ないのかもしれない。

近くの劇場で上映されていないので、この映画が見れないという方は、アカデミー賞にノミネートされた短編がYoutubeで見ることができるので、一度ご覧になればいかがでしょうか。

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