神出山田自転車道を歩く 箕谷〜衝原湖〜栄
サンチャゴ巡礼路を目標に山歩きと街歩きを開始して半年。歩くルートもマンネリ化してきた。そこで、しばらく前に神出山田自転車道のことを知ったこともあり、神戸電鉄有馬線の箕谷駅から歩いてみた。まず、箕谷駅近辺の史跡を巡り、その後は衝原湖を目指す。衝原湖を過ぎて神戸電鉄粟生線の栄駅がゴールだ。およそ18キロほどなので、巡礼路のトレーニングとしては程良い距離だ。
箕谷周辺3つの史跡
神戸市営地下鉄の谷上で神戸電鉄に乗り換え、ひと駅先の箕谷で下車する。学生時代、ここからバスに乗り、家庭教師先へ通ったのを思い出す。まずは、下谷上農村歌舞伎舞台を目指す。昔から聞き及んでいた所だが、行くのは初めて。ステーキハウス「ビッグシェフ」を通り過ぎて、市立山田中学校の隣にあった。茅葺き屋根の建物で神社の施設だそうで、江戸時代後期に建てられた古い建物だ。農村歌舞伎舞台自体は全国にそこそこの数があるようだが、その独特の作りのために国の重要有形民俗文化財となっている。扉が閉まっているため中がどうなっているのかは分からない。それにしても、「ビッグシェフ」には随分昔に2度来ているのだが、こんな近くにこの舞台があるとは知らなかった。
次に目指すのは無動寺。田園風景の中をしばらく歩くと「真言宗無動寺」の案内が出てくるが、道は分かりにくいので、google mapを頼りに歩く。人家から山の方へ登っていく道を辿ると、お寺の入り口にたどり着く。まずは、無動寺の鎮守社である若王子神社に行ってみる。お寺と神社が隣り合っているのはよく見るけれど、神仏習合の名残らしい。この神社、小さいながら室町時代の神社建築様式が残る国の重要文化財だ。社殿の上に覆い被さるように屋根がついているのが保存状態が良い理由だそうだ。無動寺へと引き返すが、本堂は閉まっている様子。国の重要文化財の仏像がいくつかあるはずだが、人気もないので諦めた。隣の住居らしき所へ入って声を掛けるべきだったか。
次に目指すのは千年以上の歴史を誇る六條八幡宮だ。来た道を引き返し、新兵衛石を通り過ぎた10分後には到着した。三重塔は小ぶりでありながら、下から見上げるととても力強く聳えて立派な作りだ。見惚れてしまうほどのイケメン三重塔。こちらも国指定重要文化財である。
衝原湖と箱木千年家
史跡巡りを終え、次に衝原湖までの道のりをひたすら歩く。実は衝原湖までは箕谷駅からバスが出ている。衝原バス停の近くにつくはらサイクリングターミナルがあり、土日祝日には事前予約制で自転車が借りられる。下のマップにあるように北区山田町から西区の神出まで全長19キロの神出山田自転車道が整備されている。今回は歩くことにしたが、サイクリング好きな人は史跡も含め自転車で巡ることができる。
史跡のあたりから7キロ歩いて衝原湖に到着。衝原湖は治水のために作られた人工の湖だ。ダム建造の常で転居を余儀なくされた人たちがいる。日本でも指折りの古い民家である箱木千年家もその一つだ。現在は衝原湖の東岸に移築されて土日祝日に公開されている。今回は平日のため、残念ながら見学できなかった。
衝原湖の東半分の北側が自転車道で、車やバイクは侵入禁止となっているため、安心して歩くことができる。衝原湖湖の真ん中につくはら大橋があり、そこを渡って今度は南側を歩くことになる。橋のたもとには「BE KOBE」のモニュメントがある。これはハーバーランド(2017年)、ポートアイランドのしおさい公園(2019年)についで3番目(2020年)のものだ。つくはら大橋を背景に記念写真スポットとして人気のようだ。
史跡を巡り、BE KOBEのモニュメントを見て、つくはら大橋を渡り、ずっと先の呑吐ダムを遠目にに確認したら、後は栄駅目指して歩くだけ。何だかやっつけ仕事のようだ。衝原湖を後にしてからは、山道のような自転車道をひたすら歩く。ようやく街が見えた頃には栄駅はすぐ近くだった。幸い、駅に着いてすぐに電車が到着して、スムーズに帰宅の途へついた。自転車道が整備されているため、車も気にならずに歩くことができる。山里の風景を楽しみながらのトレッキングであった。
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